小説の孵化場

鏡川伊一郎の歴史と小説に関するエッセイ

幕末の「怪外人」平松武兵衛  補遺

2007-12-15 19:43:14 | 小説
 白井隆一郎『榎本武揚から世界史が見える』(PHP新書)の第3章「理想の島」に「怪商シュネル」という項目のあることを、このほど知った。むろんスネルのことである。
 白石氏によれば、1865年に横浜外国奉行所に提出されたカフェの開設許可申請書の提出者がプロイセン領事館書記官のスネルだったそうである。
 白石氏はこうも書いている。
〈司馬遼太郎の『峠』に描かれた「スネル」は、長岡藩の家老・河井継之助との友情に生きる魅惑的な人物である。しかし、この人物がとてつもなく摩訶不思議な存在に見えるのは、シュネには弟がおり、どちらを指すのかその識別が困難な場合が多々あるからである。〉
 さらにこうも書いている。
〈ヘンリーにはお葉と呼ばれる妻がおり、二人の間には後々、英名でフランシスとメアリーと伝えられる二人の娘がいた。その年齢から逆算すると、シュネルは遅くとも1861年には来日しており、、横浜最古のドイツ住民の一人ということになる。〉
 1861年には横浜で搾乳を業とし、牛乳を売っていたのだから、たしかに来日はもっと早い時期を想定しなければならないだろう。ただ、ヘンリーの日本人妻や娘の件については、白石氏がどのような史料にもとづいて記述されているのか、私にはよくわからない。

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