FT-817用の大容量バッテリの自作をご紹介して以来、多くのお問い合わせを頂いたり、ご自分でお作りになる方が増えているようです。大変有り難い話ですが、中には大丈夫かな?というケースも見受けられましたので注意点をご紹介したいと思います。
(1)バッテリの容量は適正ですか?
現在国内で手に入るニッケル水素のバッテリは最大で10000mAHまでさまざまなサイズや容量があります。海外だと26AHなんて化け物もあります。ところが「大は小を兼ねる」とばかりにご自分のQRVスタイルを考えずにいきなり大容量のバッテリを選択される方が見受けられます。
当然ながら大容量にすれば制作費がかさみますし、重量も重くなります。10000mAHクラスのバッテリ11本ですとケースや保安装置を含め2.5kg程度になります。アンテナやFT-817本体は別ですから、重量を合計すると徒歩で山を登るのであればそれなり重い負担になります。普段の機材に2lのペットボトル1本を追加して30分ほど背負ってみると重さをイメージできるのではないかと思います。
使い切れない容量であるならばそのうち重さが負担になり、しまいには移動運用に行くのが億劫になる、なんてこともあり得るでしょう。せっかく高い値段を出して自作したのにもったいない話になりかねません。経済性・重量の観点からご自分の移動スタイルにあった適正な容量のバッテリを選ばれることをお薦めします。
ちなみに私の場合、最初に作った9000mAHは「JARLのメジャーコンテストで2日目の8時~15時まで持つように」という考えで選んでいます。11000mAHは「45Wのリニアを3~4時間動かせるように」との考えで選んでいます。
これがFT-817単体でせいぜい3~4時間の運用というなら10000mAHなんて容量は不要で、4500mAHあたりで十分です。これなら軽量ですしコストも安いです。あるいは山ランみたいに各山で1局QSOできたらいい、といった用途なら2500mAH前後の単3型を本体標準の電池ボックスに入れたもので十分ではないでしょうか。
(2)ご使用のリグはバッテリ動作を考慮していますか?
FT-817やハンディ機など電池でのオペレーションを考慮して動作可能な電圧を広く取っているリグはバッテリでのQRVに向きます。しかしながら固定機やモービル機の中には安定化電源の使用を前提に設計され、電圧変動のあるバッテリでは十分な性能を出せない場合もあります。
念のため安定化電源の電圧を11V前後に絞って動作に問題がないか確かめてみるのもいいと思います。
(3)保安装置はありますか?
特に大容量バッテリの場合、ショート時には大きな電流が流れます。配線が焼き切れる程度ならまだかわいい方で、バッテリから液が噴き出したり爆発したりすることもあります。しかしながらヒューズなどの保安装置を一切取り付けていない例をよく見かけます。
ショート対策で電極を露出させないようにすることは当然ですが、万一の際に備えヒューズなどの保安装置を必ず取り付けていただきますようお願いします。省略することはおやめください。
(4)できないこともあります
「フィールドデーコンテストで50Wのリグをフルタイム使いたいのですが」というご相談を何局かの方から頂きました。あるいは「無人島から50Wのリグを使い1泊2日でQRVしたいのですが」というご相談もありました。
先ほどもご紹介したように現在手に入る最大容量は26AHです。11本つなげれば50W送信が可能です。しかしながらJARLのメジャーコンテストをフルタイム戦うことはできず、せいぜい数時間しか持ちません。恐らく3ユニット程度持ち込めばご希望の運用時間を確保できると思いますが重量がかさみ、お金もかかります。3ユニットで10万円前後になると思います。
正直できないことはできないと思いますので、パワーを落とす、運用時間を短くするなど現実的な検討を加えることをお勧めします。
無人島など他の電源を確保できない場所からQRVするならバッテリに頼るしかないわけで、いかにうまく使いこなすかじゃないでしょうか。
まさにです。。。
わかっちゃいるけど、、、、。のお気持ちもわかります。
電池だけでの運用に無理はありますよね。 でも何とかしたいが、、、。取捨選択。諦めも肝心。
そこで工夫が、アマチュア精神発揮となるのですね。