JF4CADの運用日誌2.5

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「下流老人」にならないための老後資金の作り方②

2015-08-12 | シャック便り
それではサラリーマンのケースで「下流老人」にならないための老後資金の作り方例に触れてみたいと思います。


[老後の資金確保は35歳までに始めよう]
ご覧頂いた通りモデル世帯であっても公的年金だけでは十分な生活資金が確保できません。例えば平均世帯の生活費月27.7万円と公的年金の22~23万円の差である月5万円を20年間賄うには合計1,200万円が必要になります。中小企業ですとこれだけで退職金を使い果たすことになってしまいます。

働くにも年齢的な制約があり前もって公的年金以外に老後の資金を確保しておくことが必要になります。遅くとも35歳までに積立を始めれば比較的少ない額であっても60歳時点では大きな額となります。時間をかけてゆっくり積み立てるのが王道だと思います。

積立の際には税金が軽減される方法を選ぶと経済的に楽です。サラリーマンですとその方法の有力な選択肢が個人年金保険個人型確定拠出年金になります。


[個人年金保険とは]
保険料を積み立てて60歳以降に年金として受け取る仕組みです(一時金での受け取りも可)。例えば生命保険の会社がやっている個人年金保険ですと年間8万円までの保険料に対し税額控除(年末調整で返ってくる)が受けられます。

個人生命保険の利回りは現在年0.75%前後と非常に低いものの、税額控除を受けると事実上保険料の割引となりますから意外といい利回りになります。ネット記事などでこの利回りが低いことを理由に「個人年金保険はやってはいけない」と指摘している方もいますが、そういった方は多くがフリーランスで定収のない方です。彼らと違い定収のあるサラリーマンは税額控除がコンスタントに使えますので保険料の割引効果が大きいと言えます。

逆に控除の上限を超えるような保険料を払っても効率が悪くなるので保険料を年8万円(毎月6,500円前後)までにすべきです。


月6,500円(年7.8万円)、利回り0.75%で35歳から積み立てると60歳で214万円になります。これを年金にすると毎月1.2万円を15年受け取ることができます。額として決して多くはありませんが老後の強い味方になると思います。

個人年金保険はどの生命保険の会社もやっていますが、必ず年8万円ギリギリの掛金が設定できることと利回りが何%かを確認しておいてください。利回りが年0.5%では60歳では207万円となり、15年の年金なら月500円ほど少なくなります。

なお個人年金保険の税額控除が受けられるのは45歳までに加入した場合ですのでご注意ください。


[個人型確定拠出年金とは]
確定拠出年金は皆さんが投資信託や定期預金など様々な商品に投資し老後の資産を作ってゆくものです。掛金は「小規模共済等控除」となり全額所得税などの控除が受けられます。

しかも運用で上げた利益は途中で課税されないメリットがあります。証券会社で投資信託を買って儲けた場合は約2割を税金として取られるため大きな差が出ます。

確定拠出年金には定期預金や利回り保証の保険も運用商品として存在しますが、利回り保証のある個人年金保険と併用するのなら確定拠出年金で利回り保証のある運用商品に投資しても意味はないと思います。長期の運用であり、ある程度のリスク(価格変動)を取ることで平均年2.5%前後の運用利回りを目標にすることになると思います。個人の株式投資と違って高いリスクを取る必要はなく、分散投資でバランスの取れたリスクの低い運用を目指すべきです。

例えば老後の資金に月1万円出すとして、個人年金保険に6,500円を出した残りの3,500円を確定拠出年金にするとしましょう。比較的ローリスクで国内外の株式や国債にバランス良く投資する投資信託を買い続けた場合には平均年2.5%程度の運用益が見込めるとされています(確約ではないので注意)。

同じように35歳から月3,500円を年2.5%で運用するのなら60歳で145万円となります。個人年金保険の年214万円とプラスすると約360万円です。15年の年金なら月約2万円、20年で受け取っても月約1.5万円です。35歳から月1万円でもこれだけの老後資金が確保できます。

さらにボーナスからも夏冬1万円ずつ追加で積み立てるのなら確定拠出年金だけで214万円の資産になります。個人年金保険と合算して15年の年金なら約2.4万円、20年なら約1.8万円になります。年末調整で返ってくる税額控除分も確定拠出の投資に回すならさらに大きな額になります。

個人型確定拠出年金は銀行・証券会社・生命保険会社などで扱っています。運営手数料が安いところを選ぶのが一番です。

ただし個人型確定拠出年金は会社で確定拠出年金(企業型確定拠出年金)に入っている場合は入れませんのでご注意ください。この場合は会社の確定拠出年金に社員の追加拠出(マッチング拠出)が認められているのならそれを、認められていないのならNISAを活用し、信託報酬(毎年かかる運用手数料)の安い投資信託を買い続けると便利です。


[もし25歳から始めていればどうなるか?]
ここまでのお話は35歳から25年間積み立てる前提でご紹介しました。もし25歳から始めていればどうなっているでしょうか?同じ掛金で計算してみましょう。

まずは個人年金保険。60歳時点で312万円になっています。なんと100万円ほど多くなります。15年の年金でもらうなら月約1.7万円です。

確定拠出も月3,500円の掛金なら60歳で233万円になっています。15年の年金なら個人年金保険とあわせて月3万円、20年でも月2.3万円です。さらにボーナスから毎回1万円をプラスすれば60歳で344万円になっているので15年年金なら3.6万円、20年年金でも月2.7万円です。公的年金だけでは足りない額の半分を20年間補うことができます。若いうちから始めることがどれだけ有利なのかよく分かって頂けると思います。

逆に45歳から始めると個人年金保険が124万円、確定拠出年金も76万円にしかならず受取額が非常に少なくなります。35歳スタートと同じ360万円の受取額(ボーナス時追加なしでの額)にするには確定拠出の掛金をボーナス時4.5万円に引き上げる必要があります。45歳でこの額ですから、50代になって積立を始めようとすれば多くのお金が必要だということが想像できるかと思います。


月1万円でも35歳までに積立を始めればそれなりの額が確保できること、逆に積立のスタートが遅くなれば非常に厳しくなることがお分かり頂けたでしょうか。年末調整で税金が返ってくることもメリットが大きいです。下流老人にならないためには若いときからコツコツ準備するのが一番だと思います。

次回は自営業者など国民年金の方について触れてみたいと思います。
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