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見もの・読みもの日記

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2016年3月@関西:かざり(MIHOミュージアム)

2016-03-18 23:53:02 | 行ったもの(美術館・見仏)
MIHOミュージアム 2016年春季特別展『かざり-信仰と祭りのエネルギー』(2016年3月1日~5月15日)

 今週は4日連続の送別飲み会が入っていて、ブログ更新の時間が取れなかったので、先週末のレポート。どうやら2013年の『根来』展以来らしい、久しぶりのMIHOミュージアムに行ってきた。本展は、日本人が神仏に捧げた信仰のエネルギーと、人々を巻き込み魅了する祭りのエネルギーが結晶した「かざり」をテーマとする。会場の入り口には、水口曳山まつりの天蓋のような花飾りが据えられていた。

 会場のはじめには、仏教の装飾具いろいろ。法隆寺金堂天蓋附属品の鳳凰や飛天、金銅仏など、小さなものが多い。みずらを解いて垂らしたような優美な聖徳太子像(聖徳太子孝養図)は、京都・藤井斉成会有鄰館の所蔵だった。瓦・磚仏など、滋賀県出土の展示品が多いことになんとなく気づく。次室に続く通路には、伎楽や舞楽の面や装束など。古代や中世の伝世品と、現代の作が混在しているのが面白かった。特に面白かったのは、東大寺の大仏開眼1250年慶讃大法要(2002年)に用いられた袈裟。魚鱗文のような八色の遠山模様がリズミカルで美しい。会場には、この袈裟をつけた東大寺管長の姿が小さく写っている法要の写真も飾られていた。

 次いで密教儀礼や阿弥陀信仰のかざり。台座のまわりに宝物がこぼれ落ちている『愛染明王像』(鎌倉時代、13世紀)は、見たことがあったかなあ。図録によると、同館にはもう1幅、別の『愛染明王像』(これは壺から咲きほこる大きな蓮華座がきれい。鎌倉時代、13-14世紀)もあって、どちらも甲乙つけがたく華やか。『阿弥陀二十五菩薩来迎図』は、楽を奏し、舞を舞う小さな菩薩たちが愛らしく、真ん中の阿弥陀様も福々しく優しいお顔。滋賀・浄厳院所蔵(近江八幡?)。石山寺所蔵の密教仏具や、百済寺所蔵の面磬(鳴り物)などが並んでいて、そうか、この展覧会は「滋賀県」を強く意識しているんだな、と理解した。一方で、神奈川・宝樹院の阿弥陀如来の光背など、めずらしい県外からの出品も混じっていた。初めて見たのは、木造迦陵頻伽像(室町時代、15世紀)。裾のふくらんだドレスを着た女人のようで、短い裾から見えているのは鳥の足なのである。可愛いような、怖いような。

 さて、ひときわ広い展示室で待っていたのは、伊藤若冲の『鳥獣花木図屏風』一双(プライス・コレクション)と『樹花鳥獣図屏風』(静岡県立美術館)。うわー若冲生誕300年記念の始まりに、この二作品を同時に見られるなんてラッキー。展示替リストを見たら、3/1-13の期間だけの幸運だった。どうしても「獣」(白象がいる)を描いたほうに注目が集まりやすいが、私は「鳥」集めの図も面白いと思う。同じ室内に、動物つながり(?)で宇賀神や荼枳尼天の図像があったのには苦笑した。

 古神宝等を経て、後半は「祭りのにぎわい」をテーマとする。陽明文庫所蔵の『年中行事絵巻模本』は朝覲行幸の場面。門外で、馬を抑える随身たちが生き生きと描かれている。祭礼図では、何といっても『日吉山王祭礼図屏風』が大好き! 湖面に浮かぶ船の上の神輿、また見たいなあ。

 帰りのバスの時間に余裕があったので、冒頭に戻って、あらためて「ごあいさつ」のパネルを読んだら、辻惟雄先生が同館の館長職を三月で退任されることが書かれていた。それもあって、プライス・コレクションから若冲作品の出陳だったのかな。辻先生の今後、そしてMIHOミュージアムの今後が気になる。

 図録は軽めの造本であるのと、細部拡大図が多いので気に入っている。四天王寺の『銀製鍍金透彫光背』は、展示期間でなかったけれど、たぶん実物を見ても、ボタンほどの円形に描かれた小さな化仏には気づかなかっただろう。
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