見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

歳末巡礼(2):青蓮院、法住寺

2009-12-22 23:56:11 | 行ったもの(美術館・見仏)
青蓮院門跡(京都市東山区)

 歳末巡礼2日目(12/20)、いつもの友人2人と落ち合うべく、青蓮院に向かう。一足先に到着した友人から、携帯メールで「予想外の行列」という報告が入る。ええ~?行列って…。開門(9:30)直前、青蓮院に到着すると、確かに、知恩院方向に向かって長い長い列が伸びていた。しかし、国宝『青不動明王二童子像』ご開帳(2009年9月18日~12月20日)は既に3カ月も行われていたはずなのに、この大行列は『近畿三十六不動尊霊場会開創三十周年出開帳』(12月16日~20日)目当てということか。

 状況をよく把握できぬまま、バーゲンセールのような人波に揉まれて、建物の中へ。「近畿三十六不動尊のブースはこちらです!」とお坊さんが誘導している。ブースって…と思ったが、まさにそんな感じ。華頂殿(白書院)から宸殿にかけての各部屋には、三十六不動尊のご本尊(彫像だったり絵画だったり)が据え付けられ、各寺院のお坊さんたちが前に座って、ご朱印を受け付けているのだ。1カ所5分でも3時間はかかるが、兵庫から和歌山まで、6府県にわたる36寺院を巡拝することを思えば、効率のいい出開帳である。というわけで、場内は、押すな押すなの大盛況。コミケもかくやと思われる熱気だった(行ったことないけど)。

 出開帳の途中に、人波がじっと固まっている一区画があり、それが青蓮院の「青不動」ご開帳だった。向かって右には曼殊院の「黄不動」、左には和歌山・高野山明王院の「赤不動」(いずれも模本)。「青不動」は思ったよりも色鮮やか。しかし、遠いなー。三十六不動尊の出開帳がなければ、もうちょっと近くに寄れたのかなあ、と思うと、やや後悔の残る拝観だった。

■法住寺(京都市東山区)

 それから、友人と別れて、三十三間堂に近い法住寺へ。数日前に「後水尾天皇形見の仏像か 東山・法住寺 修理中に発見」(京都新聞2009/12/13)という記事をネットで見たので、20日から28日まで一般公開するという、この仏像が見たくて立ち寄ったのである。拝観をお願い(500円)すると、おじいちゃんがそばについて、古風な不動明王、赤穂四十七士像などを、1対1で解説してくれた。しかし、肝腎の仏像の話には一向に触れないので、「あのう、先日、新聞に出ていた…」と誘いかけてみると、ぽんと額を叩いて「そうでんな。今日からって書いてましたな」とおっしゃって、別の書院に案内してくれた。古風で端正な仏像。阿弥陀如来だろうか。あとからもう1名、男性客が拝観に加わり、「あんたがたが初めてのお客さんだよ」とおっしゃっていただいた。ちょっと嬉しい。

京都大学総合博物館 特別展『日本文化に見た夢 お雇い外国人建築家コンドル先生 重要文化財「ジョサイア・コンドル建築図面」』(2009年12月2日~12月24日)

 最後にもう1カ所。京大工学研究科建築学専攻が所蔵し、2006年6月に歴史資料としてはじめて重要文化財に指定された「ジョサイア・コンドル博士建築図面」を紹介する展覧会。コンドル先生といえば、工部大学校および(東京)帝国大学のお雇い外国人として知られる建築家なので、京大にその建築図面が伝わっているののは不思議だったが、購入品だそうだ。図面に付けられた完成図の水彩画は、絵画としても鑑賞に堪える。図面は残っていても「実際に建てられたか不明」というものが随分あること、また、建てられても、震災、戦災、失火などで失われた作品が多いことを知った。建築って、絵画や工芸に比べて、意外と後世に残りにくい芸術なのだなあ。
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