見もの・読みもの日記

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NHKの本気/スペシャルドラマ『坂の上の雲』

2009-12-14 00:15:24 | 見たもの(Webサイト・TV)
NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』第1部全5回

 大河ドラマ『天地人』の後枠に始まったスペシャルドラマ、第1回から第3回までを見た。すごい。毎回90分間、テレビに釘づけである。役者がいいのは、誰が見てもすぐ分かる。主役の3人はもちろん、その家族や友人たち、歴史を動かす軍人や政治家、外国人に至るまで、手抜きのない配役で実によい。セットとか衣装とか小道具もよくできていて(個人的には、古写真で見たとおりの大学予備門の正門に感動)、ロケの海山も美しく、つねに画面に抒情味があふれている。骨太の脚本なのに、毎回、品のいい「遊び」の要素がまぶしてあって洒落ている。あと、少し古風な日本語、特に男性たちの漢文調がいい。しっかり神経を集中させていないと、聴き取れない(意味がとれない)語句もある。

 私は、俗に言われる「司馬遼太郎史観」の信奉者ではない。――ただし、この言葉、司馬遼太郎本人の史観というより、彼の作品を利用して、都合のいいゴタクを並べたがる政治家の言い訳みたいに思われる。どちらにしても『坂の上の雲』は評論でなく小説であり、エンターテイメントとして面白いか否かのほうが重要である。そして、このドラマ、ここまで私には、非の打ちどころが浮かばない。

 今日(12/13)の第3回、前半の見どころは、肺結核を発病した正岡子規役の香川照之だろう。兄思いの妹の律を演ずる菅野美穂も、気持ちのいい好演なのだが、このあと、子規の病状が悪化するにつれ、彼らを襲う運命の過酷さを思うと、いたたまれない感じがする。中盤は、秋山真之(本木雅弘)のフンドシ姿、好古(阿部寛)の結婚で楽しませておいて、後半の見どころは、伊藤博文(加藤剛)の登場。

 いや~カッコよくて、びっくりした。私は、リアルに歴史上の伊藤博文がひいきなのだが、これに賛同してくれる人は少ない。特に女性には不人気である(女性関係の悪評が多いせいか)。原作は、ずいぶん前に読んだので、細かいニュアンスは覚えていないのだが、こんな「人物」に描かれていたかしら。臆病で、先が見通せて、それゆえ細心の注意を払って、(先人たちから託された)日本という国を、帝国列強から守り抜こうとした政治家であったことが、うかがわれる。このあと、李鴻章と相対する下関講和条約の場面も、ぜひ描いてほしいなあ。

 ひとつ困ったことは、『坂の上の雲』が始まったために、裏番組にあたるTBSの『JIN-仁-』が見られなくなってしまったこと。しかたないので、『JIN-仁-』は録画している。こういう視聴者、多いに違いない。
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