見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

関西・秋の文化財めぐり(3):興福寺の板彫十二神将

2006-10-31 23:27:11 | 行ったもの(美術館・見仏)
○興福寺 『国宝特別公開 2006』

http://www.kohfukuji.com/kohfukuji/index.html

 奈良の興福寺が、毎年、時期限定の「特別公開」を行うようになったのはいつからだったろう? 調べてみようと思ったら、ちゃんと上記サイトに「興福寺年表」が用意されていて、白鳳から平成まで(!)の主なできごとが一覧できるようになっている。年表によれば、境内整備事業が始まったのが1998年、国宝特別公開の始まったのが2000年である。そうだ、この年の「五重塔内陣、旧食堂地下遺構」は見に来たっけなあ。

 確かに、この「特別公開」が恒例化したおかげで、初めて見ることのできた文化財もあるし、北円堂・南円堂も内陣拝観の機会が増えた。ありがたいことだと思う。しかし、こう毎年続くと、「またやってるのか」という感じがしなくもない。境内の売店では「興福寺お楽しみ袋」1,000円まで売られていた...ちょっと商売気出しすぎじゃないのか。大丈夫か、興福寺。

 さて、今年の「国宝特別公開」は、北円堂・仮金堂・三重塔・国宝館がセットで1,300円。うーむ。私の好きな南円堂が入ってないのかあ。北円堂は、無著・世親はいいけど、ほかの諸仏は、やや劣る。でもまあ、三重塔の初層を見たかったので、セット券を購入(三重塔だけというバラ売りをしないところが商売上手)。

 三重塔初層には、小さな八臂弁財天と15童子が安置されていた。年代には特に触れていなかったけど、まあ江戸モノかなあ。仮金堂の四天王は、なかなか良かった。2004年の興福寺国宝展に出たものらしい。

 国宝館では「板彫十二神将」(国宝・平安時代)が一挙公開中だった。これはすごい! 1点2点でも見る価値のある逸品だが、12点まとめて見られる機会は、滅多にないと思う。十二神将といえば、悪鬼を威嚇する表情、武具をかざし、躍動する肉体を誇る、バロック的な造型を特徴とする。それを、「板彫」という平面に閉じ込めるために、無理にねじまげられた肉体表現は、さらに「バロック(歪み、移ろい、劇的)」の度を増している。禅月様の羅漢図に似ているかもしれない。

 十二神将の装束は、唐風の甲冑姿が多いが、よく見ると、裸足や半裸らしきものも混じっている。いちばん面白いのは伐折羅(ばさら)大将像で、すねあての部分がブタ(猪)の頭。頭上の兜も、細い目に明らかなブタ鼻が付いていて、なんとなく微笑ましい。
 
コメント
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