見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

おじさん少年・藤森照信と仲間たち

2005-04-02 22:11:37 | 見たもの(Webサイト・TV)
○ETV特集『スロー建築のススメ~藤森照信流 家の作り方~』

http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html

 またテレビの話。今日もたまたまテレビをつけたら、藤森先生が出ていたので、そのまま見てしまった(2004年9月放送の再放送)。

 藤森邸・タンポポハウスと、赤瀬川邸・ニラハウスは、できたばかりの頃に友人と見にいった。タンポポハウスでは、ちょうど藤森先生が屋根に登っていて、「写真を撮ってもいいですか~?」と声をおかけしたら「いいよ~」と気さくに答えてくれたのが忘れられない。もちろんそれが初対面。そのとき、我々のそばで、本格的な機材を据えて写真を撮っていたのが増田彰久さんだった。

 あのときは、屋根の上にはタンポポ、家の周りには菜の花が満開だったが、最近は、色とりどりのポーチュラカが花盛りだという。なるほど、植物と共生する藤森先生の建築は、年々歳々変化していくのだ。赤瀬川邸のニラは元気がないそうで、ちょっと心配だが、そのうちあっと驚く変身を遂げるかも知れない。

 伊豆大島のツバキ城、茅野(長野県)の神長官守矢史料館へは、まだ行っていない。ツバキ城の無精ひげっぽい緑が最高! でも枯れた芝の植え替えとか、メンテナンスが大変らしい。ご主人の口ぶりが、なんだか大きな動物を飼ってるみたいだった。

 そして、この夏(2004年6月)完成した最新作が、樹上の茶室、高過庵(たかすぎあん)。「縄文建築団」として施工にも参加した赤瀬川さんと南伸坊さんが、完成を見に訪れる。地上6.5メートルの茶室まで、空中にむき出しのハシゴを登らなくてはならないので、ご老体の赤瀬川さんには、ちょっとハラハラしてしまった。

 バリアフリーなんて関係なし。でも、番組の冒頭で、老夫婦の暮らす下町の町屋を紹介していたとき、わざと段差を設けてあるのが、土間(仕事場)と生活空間の仕切り(メリハリ)なんだ、というような話をしていらした。何もかもフラットにしてしまうのがいいわけじゃない。段差あり、空中回廊あり、はね橋あり(赤瀬川邸)、その緊張感こそ、人間の身体と精神を若々しく保つ効果があるのだと思う。

 1980年代、「路上観察学会」発足時の懐かしい映像も流れた。モーニング姿で学士会館の前で発足宣言をしたときのビデオである。藤森先生、若いなあ~。そして20年。でも白髪になっても、この人たちは相変わらずだ。ゲゲゲの鬼太郎みたいな樹上の家で、男3人、茶道のまねごとをして、山の景色を見て、ごろりと横になる。いいなあ。かぎりなく少年に近いおじさんたちだ。おばさんにもこういう歳の取り方はできるかしら。
コメント (1)
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