「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

帯に短し、たすきに長し・・

2023年08月08日 | オーディオ談義

「帯に短し襷(たすき)に長し」という言葉がある。

意味はお分かりのとおり「帯には短すぎるし、襷には長すぎる・・、中途半端で役に立たない」

たとえば・・、

我が家ではDAコンバーターが3台、プリアンプが4台、パワーアンプが9台あるが、6系統のスピーカーに対してそれぞれ相性があって出番が決まっている。

言い換えると、あらゆるスピーカーに対して万能ともいえる機器が残念なことに無い。定評のあるアンプの「WE300Bシングル」や「PX25シングル」をもってしても、これは例外ではない。

つまり相手次第で「帯に短し・・」。

ただし、これは我が家だけの現象かもしれず、普遍的なものとして押し付ける気持ちは毛頭ない(笑)。

で、我が家のオーディオのポリシーは「いかに機器同士の相性を考えて選択するか」、いわば「組み合わせ」の妙味に尽きると考えている。

わかりやすい実例を挙げてみよう。

そもそもの始まりは「AXIOM80」(復刻版)の移動だった。

「一つ屋根の下にAXIOM80を2セットも要らない」というわけで、その箱の中に代わりに「スーパー10」(ワーフェデール)を押し込んだ。



ところが、これがまったく音質に色気が足りず、あえなく降板の憂き目にあい、JBLシステムへと転戦~。



これで、ようやく「スーパー10」が「水を得た魚」のように伸び伸びと躍動感が出てきて、これにて一件落着。

すると、「AXIOM80」(復刻版)を容れていた箱が空きになってしまったので、さあ、これにどのユニットを容れようかな・・。



で、結局「TRIAXIOM」(グッドマン:同軸3ウェイ)の出番となった。口径30cmのユニットを外側からマウントすると随分デカク見える。

実はこれまで、この定評あるユニットを十分に鳴らし切ったという自信が無い。

まずは「同軸3ウェイ」という機能からして、「周波数レンジ」よりも自然な「音像定位=ハーモニー」に重きを置くのがまっとうな方法だろうとはおよそ想像がつくが、問題はこれに組み合わせるアンプである。

これまた、どうも「帯に短し・・」なのである。

プリアンプに「マイカコンデンサー」を組み入れてから、一段とグレードアップしたように思っているので、新たな模索といきたいところだが、おおよそ9台のアンプのそれぞれの個性を把握しているので、自ずから除外できるのはだいたいわかる。

「WE300B」や「PX25」はオーヴァーパワー気味で「鶏肉を裂くに牛刀をもってする」感じ。

で、最後に絞り込んだのがこの「6AR6シングル」アンプ(三極管接続)だった。



パワー感、周波数レンジ、ハーモニーなどいろんな観点からするといちばん無難な存在かなあ・・。

ちなみに、「6AR6」(中央2本)は初期型の「楕円形プレート」を使っている。

問題は初段管(左端)の「6SL7」で、この球にどのブランドを使うかで、コロッと音が変わるのでゆめゆめ油断できない。

   

左から「CV569」(英国STC)、「ECC35」(英国ムラード)、「6SL7」(シルヴァニア)、「6SL7」(GE)、「6SL7」(RCA)

これら5本を差し換えながらブランド次第で音質がどう変わるか・・、これはもう「真空管オーディオ」の醍醐味ですよね。

で、いちばん気に入ったのが左から4番目の「GE」(アメリカ)だった。

まことに予想外だったが、音がいちばん「瑞々しい」!  

周辺環境が良くなるに伴い、本来の実力を発揮したというべきか・・。

「TRIAXIOM」の能力をフルに引き出した印象を受けて、こんなに「魅力的で色気のある音」をこれまで聴いたことがない・・。

さっそく「北国の真空管博士」にご注進。

「GEの6SL7がとても音がいいんですけど何か理由があるんですかね?」

「プレートの色はどうなってますか?」

「ハイ、シルバーですが・・」

「ああ、それならニッケルで出来たプレートですね。灰色のものはアルミクラット鋼板といって、鉄をアルミで挟んだものです。ニッケルの方が電気抵抗が少ないので当然いいです。

初期の真空管はニッケルが主流を占めていましたが、鉄の鋼板技術が進みコストの面からアルミで挟むようになりました。そのGEはおそらく使用時間も少なく程度もいいものでしょう。ニッケルのプレートは、色を塗ってブラック仕様のものもありますよ」

「なるほど・・、ブラックプレート・タイプは音がいいと聞いたことがありますが、そういうことでしたか」

さっそく「GE」の「6SL7・ニッケルプレート」タイプをもっと確保しておかねばと気が焦る~。

おっと・・、外野席から「おいおい、そろそろ自分の寿命を考えろ!」という声が聞こえてきそう(笑)。



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