ブログを始めてから16年目に入っているが、せっかく作っても読んでもらえないと徒労に終わるので、いつも読者の目が頭の片隅にある。良し悪しは別ですよ~(笑)。
というのも、自信作がサッパリだったり、逆に肩の力を抜いた作品が好評だったりで、その辺の反応が実に刺激的で、これがなかなかブログを止められない理由の一つ。
いわば、読者の反応を通じて「自分の感覚」と「世間の感覚」とのズレを確認しているともいえるが、その「物差し」となるとまずは「アクセス数」になるが、その次には記事の「息の長さ」(ロングラン)になる。
たとえば、投稿した期日を過ぎてもずっとアクセス・ランキングに留まっているような、後に尾を引く記事がそれで、おそらく何がしかの読者の共感を強く得るものがあるのだろう・・。
具体的な例として、近いところではこの1月15日に投稿した記事「オーディオは音楽鑑賞の手掛かりに過ぎないのだろうか」。
アクセス数は「並み」だったが、通常であれば長くても2~3日で消え去っていく運命なのにいまだに根強く残留している!
次の画像は「昨日(20日午前8時40分現在)」の「アクセス解析」頁。
煎じ詰めると「音楽鑑賞をするうえでオーディオシステムの役割っていったい何だろうか」という根源的なテーマだったのだが、日夜熱心に(オーディオに)勤しんでいる自分にとっても無視できない課題である。
というわけで、読者の応援を得た(積り)なのでもう少し踏み入ってみよう。
以下、私見ですからどうか「ワン・オブ・ゼム」の積りで読んでくださいね~。
オーディオの要諦は周知のとおり「原音再生にあり」ですよね。
言い換えると「録音現場の生の音」をそっくりそのまま、雰囲気でさえも再生することがベストですが、それは物理学的にみてとうてい無理な話。
そもそも「電気回路を通した音」が「生の音」に太刀打ちできるはずがない。
となると、二つのアプローチに分類できる。
一つは無理ながらも出来るだけ「原音再生に近づくことを目指す」方向へ、もう一つは割り切って「原音再生に拘ることなく聴感上、音楽のイメージを膨らましやすいようなサウンドを目指す」方向へ。
前者が「オーディオ向きのサウンド」であり、後者が「音楽鑑賞向きのサウンド」としよう。
なかなか抽象的で理解しづらいだろうから実例を挙げてみよう。
たとえばモーツァルトの晩年のオペラに「ドン・ジョバンニ」がある。
大好きな「魔笛」に匹敵するほどの傑作だと思うしドラマティックという点では古今東西でもベストのオペラだが、これまでいろんな指揮者のものを聴いてきた。
評判のいいヨーゼフ・クリップスを始め、リッカルド・ムーティ、ダニエル・バレンボイムなどだが、残念なことにいまだに「フルトヴェングラー」以上の演奏にお目にかかったことがない。
主人公「ドン・ジョバンニ」のふてぶてしい悪漢振りと登場人物たちの心理のあやが音楽的に実にうまく表現されている気がして、深い感銘を受けるわけだが、その一方では何しろ当時(1953年)のことなのでモノラル録音だし、それにライブなので非常に音質が悪い。
したがってこの演奏は音楽鑑賞向きとしては満点だがオーディオ向きとしては非常にお粗末といったことになるが、こんな名演奏を聴かされると音質の悪さなんかどうでもいいような気持にさせられるのが不思議。オーディオ愛好家にとっては大いなる矛盾である。
これがそっくりそのまま前述の「音楽鑑賞向きのサウンド」に当てはまる。
フルトヴェングラーの演奏をオーディオ向きの分解能が優れて高音域のレンジが伸びた音で聴くとどうなるか、結果は見えてますよね(笑)。
しかもレンジが広くなると音楽の密度が薄くなってくる印象がしてくるのが不思議。
つまり、何が言いたいかというと「オーディオ向きの音が必ずしも音楽鑑賞にとっていいとは限らない!」
この「フルトヴェングラー全集(107枚)」を毎日少なくとも1枚は聴くように心がけている。
耳が安易な方向(?)に行かないように戒めている積りだが、つい怠りがちになる(笑)。
とはいえ、録音と再生技術が進歩した現代ではオーディオ向きの音を第一に優先する人がいてもちっとも不思議ではないし、むしろそれが圧倒的な多数派になるのだろう。
何しろ1950年代前後の往年のマエストロたちによるクラシックの黄金時代を知らない人たちが増えるばかりだから。
「音楽愛好家」と「オーディオ愛好家」の線引きが難しいのもこの辺に由来している気がする。
関連して、これまで周辺で「オーディオに飽きてしまって長続きしない」いわゆる挫折組のケースをちらほら見てきたが、残念なことにきまって「音楽を心底から愛していない人たち」だった。
結局、「音楽あってのオーディオ」なんですよね~。
以上、50年以上のキャリアから言わせてもらったが、ちょっと「上から目線」になったかもですね、どうもスミマセン(笑)。
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