つい先日搭載した「システムの大幅な入れ替え~第3弾~」の終幕で我が家の5つのシステムを5人兄弟にたとえてみたのはご存知の通り。
勝手に長男とか次男とかそれぞれの持つイメージをスピーカーの性格になぞらえてみたが、実はその日の気分によって印象が左右されるのがほんとうのところだ。
たとえば睡眠不足とか体の不調とかでいとも簡単に音の嗜好が変わり、ときにはあまり聴きたくないシステムに変身したりするので、日によってご機嫌が良かったり悪かったりする「気分屋」さんみたい~。
もちろん人間側に原因がある。(笑)。
このように捉えどころがないオーディオに対して、少しでもアプローチがしやすくなるように我が家では独自に「二つの貌(かお)」に分類している。
すなわち、表の貌としては「いい音」「普通の音」「悪い音」の3種類があり、裏の貌としては「好きな音」「どうでもいい音」「嫌いな音」の3種類がある。
前者が「物理的な貌」とすれば、後者が「情感的な貌」ともいえる。
というわけで、すべての「音」に対して勝手気ままにこの二つの範疇で割り切ることにしているが、すると現実的に「いい音」なんだけど「嫌いな音」というのがどうしても出てきてしまう。
たとえば、「オートグラフ」なんてその最たるものですかね(笑)。
その点からいくと我が家の5つのシステムはこの「二つの相貌」が複雑に織り交じった文字通り「混成旅団」といえる。
自ずから自分が組み立てたシステムばかりだから「好きな音」ばかりのはずなんだけど、それでも微妙な濃淡の差というのは如実にある。
そこで毎日のように聴きたくなるという意味で、目下のところ「好きな音」の順番を挙げると、次のとおり。
1位 グッドマンの「AXIOM150マークⅡ+デッカのリボン型ツィーター」
2位 リチャードアレンの「ニューゴールデン8」+ワーフェデールのコーン型ツィーター
3位 ワーフェデールの「スーパー10」+075ツィーター
4位 「ウェストミンスター」(改)+「AXIOM80」(復刻版)
5位 「AXIOM80」(オリジナル版)
という結果になる。
その反面「いい音」の基準でいくとこれらの順番が簡単に逆転したりするところがとても面白い。
ただし、こうやって実際に書き出してみると、「普通の音」や「どうでもいい音」を調教していく手間や時間が多ければ多いほど「好きな音」と密接に繋がっていくことに気付いて、これは我ながら新発見だった。
つまり、「手がかかる子供(システム)ほど可愛い」というわけ(笑)。
そこで、今回は「好きな音」の1位に輝いた「AXIOM150マークⅡ」(以下「マークⅡ」)+デッカのリボン型ツィーター(以下「デッカ」)に焦点を絞ってみよう。
おそらく世界中の誰もが試したことがないこの組み合わせに大いに満足しながら、いろんな音楽ソースを聴いていたのだが、そのうちやっぱり欲が出てきた。
どんなに気に入ったオーディオシステムでも聴きこめば聴きこむほど欲が出てくると断言してもいいくらいだが、その倣いでいけばもう少し「シンバル」の輝きがあってもいいかなあ・・・。
クラシックもジャズも両方うまく鳴らせたいと欲張ると、どうしても「二兎を追うもの一兎をも得ず」という教訓が浮かんでくる・・(笑)。
クラシックではデッカのリボン型ツィーターがベストだと思うのだが、試しにJBLの「175ドライバー」(以下「175」)を載せてジャズを聴いてみることにした。
ただし、とても能率が高いユニットなので「オイルコンデンサー」(ウェスタン製)を1個(1μF)外して、ローカットの周波数を5千へルツあたりから7千ヘルツあたりに上げてみた。
これで、シンバルを聴いてみるとやっぱりいい!
同じJBLの「075」ツィーターがチャリ~ンと冴えわたった響きだとすると、「175」はズシ~ンとやや重めの響きだがとても浸透力があってこれはこれで惚れ惚れする響きでどちらがいいとは簡単に言えず、もう好き好きですね、これは~。
ちなみに、「175」の仕様によると、比較的低い周波数の1000ヘルツから使えるようになっている優れものだが、クラシックの試聴に使う場合は7000ヘルツあたりからの使用がベストだと思っている、少なくとも我が家では~。
さて、このシステムを100点満点で採点するとクラシックでは90点、ジャズでは85点、総合点は175点となる。
その一方「150マークⅡ+デッカ」の場合はクラシックが95点、ジャズは70点で総合点は165点。
さあ、どちらを選択しようか。
ここで、ふと高校時代のときのことを思い出した。
必ずといっていいほどクラスの中に全科目まんべんなく平均点以上を取る「優等生型」と1科目だけ飛びぬけて良くできる「秀才型」の二つのタイプが居るものである。
たとえば、数学はずば抜けているけど国語や英語はサッパリというタイプがそれ。
歴史に名を遺したり記憶に残るのは概ね後者の方だが、これはオーディオにも当てはまりそう。
はたして我が家ではどちらを優先しようか~、実に悩ましい(笑)。