「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「レコード」と「CD」の不毛な優劣論

2021年05月01日 | オーディオ談義

14年余に亘ってブログを搭載し公開していると、これまでに全国津々浦々の方々からちょくちょくメールをいただく。

無視するわけにはいかないので、その都度こまめに返信メールを送っているが大半の方々が1か月も経たないうちに途切れてしまい、すっかり「音沙汰無し」になってしまう(笑)。

「オーディオどころではない」という環境の変化など様々な事情がおありになるのだろう。

その点、「I」さん(東海地方)に限ってはもう数年になるだろうか、息が長いお付き合いで1か月に2回ほどのペースで着実にメールが届く。

いつも丁寧に練られた文章をいただくので、僭越ながら「作文」が苦にならないタイプだとお見受けしている。

その「I」さんからつい先日もメールをいただいた。ご本人のご了解のもとに以下の通り公開させていただこう。


「2020年国内ミステリーベスト3を読み終えました。

作品の優劣など私に言えるわけもありませんが、好みは3位の綾辻行人作「Another」でした。

どうも私は、ミステリー度より、登場人物像を感じる・・・読みながら登場人物の表情・姿が見えてくる、動きも見えてくる、という感覚があると、面白いと感じるようです。「Another」にはそれを感じました。

そういう点で、伊坂幸太郎も私好みです。要するに私は本格ミステリーファンではないのでしょう。

しばらく伊坂幸太郎にもどるか、綾辻行人の別作品にするか、4位の五十嵐律人作「法廷遊戯」を読むか・・思案中です。

ところで、アナログカートリッジの話です。最近、Tさんがレアなカートリッジを入手されたので近日中に聴きに行ってきます。

ビクターのMC-L1000のプリントコイルを極細のコイルに置き換えたもので、Mさんというブロガーが改造しているものです。改造個体は14個で、その14個目をTさんが買われたということです。MCカートリッジでは世界1らしいです。

一方、光カートリッジの現代版が異次元との評判です。価格も凄い。最上位機種のグランド・マスターはカートリッジ120万円、専用イコライザーが400万円!計520万円です。

これにアームとターンテーブルが100万円単位で必要になります。こういう超高級機を聴くには、私が使っているような普及品のプレイヤーでは、まず気分的にだめでしょうから。お金がかかりますね。」

以上のとおりだが、まずは読書の話から。

自分も「I」さんも、ともに「ミステリー好き」を自認しているが、綾辻行人さんの「Another」も図書館から借りてきたものの、あまりの分厚さにとうとう読み終えることなく、返却期限(2週間)に迫られて後ろ髪を引かれる思いで「さようなら」だった。「I」さんが根気よく読み通されたことにまずもって敬意を表します。

またミステリーに登場してくる「人物像」に関してはまったく同感で、結局殺人事件ともなると動機が必要になり、その動機となると登場人物の深い内面に迫らざるを得ないので、いくらミステリーと言えども「トリックの謎解き」とともに文学作品並の「人物描写」が両立しないと「いい作品」にはならないと思っている。

ちなみに、「あり得ない犯人」だけど嫌でも納得せざるを得ず、あらゆる要素が完璧に揃ったミステリーの最高傑作は「Yの悲劇」(エラリー・クィーン)に指を屈するとあえて言わせてもらいましょう。

次にオーディオの話。

文中に出てくる「I」さんも「T」さんもともに大のレコード愛好家なので情報にお詳しいが、究極ともいえる「光カートリッジ一式」だけで「520万円」というのだから高っ!

我が家では、現在はCDやブルーレイなどのデジタル系だが、若い頃はレコード
一辺倒だったのでカートリッジの重要性はよく理解しているつもり。

たとえば当時のお気に入りだった
ドイツ製の「STSー455E」(エラック)など夢中になったものだが、アンプを代えた以上に音が変化するのでゆめゆめおろそかにできない部分だ。

我が家でそのレコードがCDに入れ替わったのは1980年前後だろうか。コリン・デービス指揮の魔笛が「CD3枚組」として登場したのと軌を一にしている。

巷間よく言われている「レコードとCDのどちらが音がいいか」ということになると、いろんな説を総合すれば「デジタルは結局アナログに追い付けない」となっており、これまでの経験からしても自分もこの説に賛同である。

ただし、レコードシステムにしてもデジタルシステムにしてもレベルはピンからキリまであるので個々の家庭によって状況は千差万別である。

とはいえ、レコードで「いい音」を出そうと思ったら並大抵のことではない。フォノモーター、ターンテーブル、トーンアーム、カートリッジ、フォノイコライザーアンプ、そして優秀録音のレコード盤・・。どれもこれも手を抜けない。

そこで、たとえばあまり程度のよろしくないレコードシステムと、よく吟味されたデジタルシステムでは後者の方に軍配が上がるのは間違いない。贔屓目かも知れないが(笑)。

したがって、レコードがいいとか、CDがいいとかというのは不毛な論争に過ぎず、つまるところ(個々の家庭の)「ケースバイケースで決まり」というのがせいぜい落ち着く先だろう。

使う側の事情で選択肢を広げればいいだけの話。

ちなみに、TRアンプを使っている方はレコードを愛する方が多いように見受ける。一般論になるがTRアンプの中高音域(倍音成分)の表現力の物足りなさをレコードの豊かな響きで補っている感じかな。

その一方、真空管アンプは倍音成分の表現力が豊かなのでCDの音でもそこそこ再生できると言ったら我田引水になるのだろうか(笑)。

ちなみに専門家のご意見によると「もしデジタル系を主体に聴くのであればぜひ良質の真空管アンプを使いなさい」と、あったのが記憶に残っている。

それにしても、520万円の「光カートリッジ」ともなると、生(原音)そのものの音が出てくる気がする。こればかりはいかに高級なデジタルシステムでも太刀打ちできないだろう。

ただし、当然のごとくそれに相応しいアンプやスピーカーも必要となるのは必定。

結局、上には上があり「コスパ」とはまったく無縁の世界があるということですね~(笑)。



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