先日から気になって仕方がないオークションの出品物がこれ。
タイトルは「Western Electricの両波整流管274Aナス管1930年代」
真空管の世界では「泣く子も黙る」と言われるほどのウェスタン製で、しかも黄金時代の1930年代製造といえばケチのつけようがないですね。
解説にはこうある。
「WESTERN ELECTRICの両波整流管274Aのナス管を出品します。ナス管は274Aの最初期タイプで1930年代の製造です。後ろの箱は刻印ロゴST管用と思います。
ベースに緩み及び取り付けに傾斜がありますので気にされる方はご注意下さい。WE86アンプ用に購入したものですがナス管は恐れ多くて使用は僅かです。立ち上がりが若干遅く300Aに合わせているのでは無いかと当時思いました。もう1本出品しています。」
以上のとおりだが「ナス管は恐れ多くて使えない」という気持ちは十分理解できますよ(笑)。
たとえば、我が家の300Bアンプは非常に控えめな動作に終始しているので「少なくともあなたが存命中はWE300Bの寿命が尽きることはありませんよ」と、専門家から太鼓判を押してもらっているが、なかなか日常的にオリジナルの「WE300B」を使う気にならない気持ちがそれ。
大切なものは「祭り上げて、そっとしておきたい」という心情を分かっていただけるだろうか。とはいえ、「たかが真空管ではないか」という意見も当然ありそうですが(笑)。
話は戻って、この整流管は当初は「48万円」(1本)で出品されていたが、現在は「40万円」に値下げされている。
欲しいなあ!
ただし、問題は果たしてこの整流管が40万円に見合うほどサウンドに劇的な影響を与えることができるかどうかということに尽きるが果たしてどうなんだろう。
たとえば、あらゆる部品に超一流品が使ってあり、回路も最高の仕上げという理想的なアンプでこそ、その真価が発揮されるのであって、よほどのアンプじゃないとこの整流管には相応しくない気がする。
そもそも整流管と言えば周知のとおり「交流を直流に換える役割」を担っているが、その整流能力によってアンプ全体の元気度が左右され、さらには静けさ(SN比)に貢献することが知られているが、どちらかといえば「縁の下の力持ち的存在」だ。
野球でいえばエースあるいは4番バッターが「出力管」であり、「整流管」はキャッチャーみたいな気がする。
ここで実例を挙げてみよう。次の画像は我が家の「171シングル」アンプ。
真空管の構成は、左から前段管の「A411」(ヴァルボ:バリウム昇華型フィラメント)、出力管「171」(トリタン・フィラメント)、整流管が「83V」(RCA:1940年代)
これまで整流管はナス管の「480」(SPARTON)を使っていたが、つい先日「83Vの方が整流能力は一枚上ですよ。お値段も張らないし使ってみませんか」と、専門家から調達したので付け替えてみたところ、これがGOODの一言。
スピーカー(AXIOM80)の存在をまったく意識させない鳴りっぷりにほとほと感心してしまった。
これを敷衍(ふえん)すると、お値段が手ごろのときに効果が上がればうれしさ百倍だが、あまりに高価だと効果があっても当たり前でうれしさも半減するというのが本音です。
オーディオの醍醐味とは「最小の投資で最大の成果を上げる」ことにあるような気がしてしかたがないが皆様はいかがでしょうか(笑)。
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