「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

新年早々の試聴会~その2~

2015年01月08日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

昨年末(2014)に新たに手に入れたナス管アンプだが一聴するなり素性の良さが窺い知れた。澄み切った中高音域の「音の佇まい」は只者ではない。さすがはGさん(福岡)!

      

ただし何もかもGさん任せでは持ち主としての立つ瀬がないので、せめて真空管をあれこれ差し換えてベストマッチングを探ってみることにした。

まず出力管を付属のものから、一段と古い初期の球(以下「古典管」)に変換。これはもう相性以前の問題で球の特性(電流値)が大きく違うので目を見張るほど音が良くなった。

そして面白いことに気が付いた。

同種のアンプをもう1台(仮に「ナス管1号機」としておく、したがって今回のアンプは「ナス管2号機」)持っているのだが、「ナス管1号機」では、1本の古典管が音が割れたり歪気味の音を出していたのでお蔵入りしていたのがこの「ナス管2号機」に挿してみると微塵もその気配が感じられないのである。

いったい、なぜ?

両者のアンプの大きな違いといえば
整流方式の違いだけ。

「ナス管1号機」は真空管整流で「ナス管2号機」はダイオード整流。この整流方式のどちらがいいのか悪いのか、好みの差もあるだろうし、いまだにマニアの間でも論争が尽きない。

これまでダイオードと聞いただけで固い石の音をイメージするので、整流管を使うのが一番だと思っていたが、どうやらそうでもないようである。

以下、自分なりの勝手な想像を述べてみよう。

整流管といってもそこは真空管の悲しさであくまでも消耗品である。使っているうちに次第に性能が劣化していくのは否めない。しかし、音が完全に出ないかというと“そこそこ”出るのでなおさら始末が悪い。経年劣化なので耳の方もそれに慣れてしまい音の劣化に気が付きにくい。

これを前提に考えると、もしかして「ナス管1号機」による古典管の歪気味の音の原因は“へたった”整流管のせいで十分な電流を供給できなかったせいではあるまいか。

そういうわけで整流管をこまめに取り換えるのが面倒くさい向きは、音質は別として寿命と安定性の面で一日の長があるダイオード整流にした方がいいのかもしれない、なんて思ったりした。


それにしても稀少な古典管が生き返ってくれてうれしい限り。「古典管は簡単に諦めないこと」が今回のアンプでの一番の収穫である。

さて、次にドライバー管の交換に移った。出力管の能力はドライバー管によって大きく左右されるのでその選択にはメチャ神経を使う。このアンプに付いていたのは「12AX7」というミニチュア管であの有名なプリアンプ「マランツ7」に使ってあったりして有名な存在。実は以前「マランツ7」を愛用していたことがあり、その名残で12AX7の在庫はいまだに十分な状態。

周知のとおり「12AX7」は肝心の「μ(ミュー)」(増幅率)がおよそ「100」という値になっており、自分が知る範囲ではあらゆる電圧増幅管の中で最も高くちょっと暴れ気味の傾向があると思っている。

そこで、素性のいい球が望まれるので手元にあった中から厳選したのが次の5種類の球。

          

左から順に「ECC803S」(テスラ)、「ECC83」(テレフンケン・ダイヤマーク入り)、E180CC(ムラード)、E83CC(シーメンス)、E80CC(ヴァルボ)

この中で異種となるE180CCは「12AX7」の「μ=100」に比べて「μ=47」とやや落ちるし、E80CCに至っては「μ=27」と極端に落ちるが、この両者は非常に球(音)の素性がいいのであらゆるミニチュア管には必ず試すことにしている。

そして試聴の結果、出力管の個性を上手く引き出すという点でベストはテレフンケンのECC83で次点はムラードのE180CCだった。

さすがはテレフンケンのダイヤマーク入りだと感心したが、
E180CCは大健闘だった。「μ=47」と実に手頃な数値なので非常に使いやすいうえ、一般的な真空管アンプに頻繁に使用されている「12AX7」(μ=100)と「12AU7」(μ=17)の両方に睨みが利くので大いに重宝している。このところオークションでせっせと買い占めているので今や在庫は12本!

E80CCは今回は冴えなかったが「μ=27」と低すぎたのが原因。何せ「12AX7」という相手が悪かった。もし「12AU7」の代わりに使用したとしたら、おそらくベストだったろう。

これでようやく音質も一段落だと我が世の春をかこっていたところに今回のYさんのご訪問(1月3日)だったわけだが、新装なったこのアンプのご意見を伺うのに絶好の機会となった。

Yさんが試聴盤として持ってこられたのは次のCD。

      

いずれもヴァイオリン系で、専門誌から優秀録音盤として推奨されたお墨付きのものだそうで、このことからしてもYさんがSPユニット「AXIOM80」の弦楽系の再生能力に一目も二目も置かれていることがお分かりいただけようというものだ(笑)。

「いい音ですねえ!PX25アンプよりも好きです。それはそうと以前のアンプ(ナス管1号機)もいい音がしてましたがどうされるんですか?」とのご質問。

「はい、AXIOM80の復刻版に使用しています。もし自宅で試聴されるのなら貸してもいいですよ~」

「いえ、いいです」

マニアというものは一般的に他人の二番煎じを嫌がるものだが、とりわけYさんはリッチな財源に裏打ちされているので独立心が旺盛な方のようにお見受けした(笑)。

それにひきかえ、自分ともなるとプアな財源のもとに他人の持ち物がいいと思えば、恥も外聞もなく何でもかんでも飛びつくダボハゼのような存在かもねえ(笑)。

さて、次にJBL3ウェイ・マルチ・システムも聴いてもらったが、「全てのシステムが完成の域に近づきましたね。
2年前とは大違いですよ~」

こういう賛辞を臆面もなく披露する(ブログの作者の)神経もどうかしているが、書かないと分かってもらえないしねえ~(笑)。

いずれにしても、ことオーディオに関しては華々しいスタートを切った2015年でした。

 


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