昨年末に紹介した「消磁器」だが、この正月期間中は手元の真空管アンプ(7台)の出力トランスの消磁に大活躍だった。
とにかく、2枚も3枚もベールをはがしたように音がクリヤーになって情報量が多くなるからその効果たるや驚く。
ただし、消磁にあたってはアンプの保護とスピーカーに影響を及ぼさないように手持ちの「15Ωの抵抗」をSPターミナルの両チャンネルに挿し込んでから行った。
この機器は近所にお住いのYさんからお預かりしているものだが、Yさん宅では消磁の対象になるアンプが無くなったとのことなので、この際いっそのこと「譲ってもらおうか」と正月早々から虫のいいことを考えていたところ、そのYさんから3日(金)の午前中に電話があった。
「明けましておめでとうございます。いかがお過ごしですか~」
「ええ、相変わらずオーディオ三昧ですよ。お預かりしている消磁器はなかなかいいですねえ。お正月の間、我が家の真空管アンプはすべて消磁しましたよ。」
「その消磁器なんですが、友人が貸して欲しいと言ってますので今日にでも取りにお伺いしていいでしょうか。」
「ええ、もちろん結構ですよ。本来は私がお返しに上がらねばいけないのに、わざわざ見えていただいていいんですか。」
「はい、午後1時半ごろに試聴がてらお伺いします。」
というわけで、新年早々の試聴会がめでたく実現した。「お父さんたちはほんとうに好きだわねえ~」と、娘と家内がいたく感心する(笑)。
今回の試聴会のポイントは何といってもこれ。
☆ 新たな真空管アンプの音質テストについて
実は昨年(2014)の12月18日に1台のアンプ(新品)をオークションで即決で落札した。
解説文にはこうあった。
「売り切り クリスマスプレゼント 格安出品 写真を参考ください。電源ケーブルが無いために動作の確認ができません。よって、動作未確認のジャンクで放出します。手を入れる時間があれば、かなりマニアが泣いて喜びそうなアンプに
出来ると思いますが、時間が無いので、このまま放出します。
ナス管はいいですね。トランスもタムラと豪華です。手間作るとなるとパーツ代だけで〇〇万円くらいになると思います。」
非常に小振りのアンプということが気に入ったし、しかもお気に入りの真空管(以下「ナス管」)が使ってある。それに出力トランスがタムラ製となると、国産ではまあ一流だし、全体的に何かしら琴線(きんせん)に触れるものがあった。
もうアンプは余り過ぎるくらい持っているのに、ついフラフラと引き寄せられるのだからよほどの「薄志弱行の徒」である(笑)。
まず、このナス管の特性に熟知したGさん(福岡)にご意見をお伺いしてみると、「たしかに部品代だけで即決価格を軽くオーバーするでしょうから、お買い得品には間違いないですね」。
「もし落札したら出品者(東京)からGさん宅へ直送してもらいますので、内部を一度点検してもらえませんか。」
「ええ、いいですよ。ただし年末になるとお店(和菓子屋さん)が忙しくなるので、点検は年明けになりますが、それでいいでしょうか」
「ええ、もちろんです。全然急ぎません。お暇なときに診てもらえれば結構ですよ」と自分。
実は半分はホンネで、残り半分はそうではなかった。おそらくGさんのことだから、乗りかかった船だとばかり技術者魂を発揮して早期点検をしてくれるだろうと期待していなかったと言えばウソになる~(笑)。
そして大胆不敵な狙いはものの見事に当たった!肺炎一歩手前というほどの重症の風邪をおして、そしてお店の繁忙期を克服されて無事改造が済んだナス管アンプが我が家に届いたのは何と年内も年内、余裕の12月25日だった!
何しろ始めから電源コードとボリュームつまみでさえ付いて無いのだから、回路の中身の方も“推して知るべし”で、改善箇所が山ほどあったようだ。Gさん、ほんとうにありがとう!!
さっそく本命のSPユニット「AXIOM80」(最初期版)に繋いで鳴らしたところ、想像以上の音が出たのには驚いた。
「ええ音やなあ!」
以下、続く。