オーディオシステムの中でアンプとスピーカー(以下、「SP」)といえばクルマの両輪みたいなものだが、SPの個性を十二分に引き出してくれるアンプの試聴テストは、性能以外にも相性の良し悪しがあり、意外性も加わって大きな楽しみの一つ。
とりわけ真空管アンプの場合は「アンプ転がし」に加えて「球転がし」が加わるので楽しみが倍加する。
我が家の場合も真空管アンプ6台をとっかえひっかえして、気が向いたときに相性テストを繰り返しているが、困るのがアンプの置き場所。何せそれほど広くもないオーディオ・ルーム(6m×7m)なので、不用意なところに置いて躓いたりすると危険だし、大切な真空管も壊れてしまう。
そこで、一計を案じて直し込んでいたタオックのSP置台(鉄製)を引っ張り出してきて二段重ねにして立体的な置き場所を作ってみた。
段々と機器が聴取位置までせり出してくるという見苦しい有り様だが、な~に、持ち主さえよければそれでいい世界。
なかなかの名案だと悦に入ったが、これでアンプにコード類を接続して聴いてみると、これまで出たことがない「ブーン」という微かなハム音が両方のSPから聞こえてくるではないか!
アレッ、おかしいなあ?発信源は木の台の上に乗せたアンプだが、これまでハム音はまったく無縁だったのにどうしてだろう?
もしかしてと、木台の下のアンプのスイッチを切ってみるとハム音がスーッと消えた。考えられることはただ一つで、下に置いたアンプの電源トランスと出力トランスから発する電磁界が盛大に上方まで広がって悪さをしたらしい。
我が家の真空管アンプはほとんどが鉄製のシャーシー(台)だが、少しでも電磁界を籠らせないように配慮して底板はすべて取っ払っているのだが、その一方で外部からの侵入には意外ともろいのかもしれない。
そこで、画像のように影響の無さそうな一番小さな「ちびちゃんアンプ」(2A3出力管)を、置いたところ万事うまくいった。電磁界は横よりも上方に広がりやすいのだろうか?
ともあれ、そういうわけで「真空管アンプの下にはご用心」という他愛ない一席でした(笑)。