毎日新聞 2023/10/30 地方版 有料記事 480文字
礼文島でアイヌ民族がアワビの魂を神の国に返す「貝送り」の儀式を行ったとみられる江戸時代の遺構が見つかった。貝送りに関する具体的な証拠が確認されたのは初めてで、調査団を率いる北海道大アイヌ・先住民研究センター長の加藤博文教授は「アワビは重要な交易品として特別な存在だったのではないか」と話す。
アイヌ民族には自然の恵みを神からの贈り物と考え、神の国に魂を送り返して再訪を願う儀式「イオマンテ」がある。地域によって儀式の対象に違いがあり「クマ送り」が広く知られている。
加藤教授によると、遺構は8月、礼文島北部の砂丘にある遺跡で発掘。地表から深さ50センチほどの場所で、直径1・5メートルの範囲に大量のアワビの殻が集中していた。クジラの骨を削ったへらや曲げられた小刀のほか、江戸時代の貨幣である寛永通宝も見つかった。
・・・・・