毎日新聞2024/6/13 地方版 有料記事 657文字
樺太アイヌ協会会長の田澤守さん(69)が札幌市内で講演した。テーマは「ルーツであるエンチウ(樺太アイヌ)のこと」。「北海道パレスチナ医療奉仕団」が1日に開いた報告会の中で行われ、アイヌが奪われた土地に対する先住民族としての権利の重要性について歴史を踏まえて語った。【安味伸一】
田澤さんは札幌市内で暮らす大工で、両親が樺太(サハリン)生まれ。1875年の樺太千島交換条約で樺太がロシア領になり、樺太に住んでいたエンチウ841人が道北に、さらに、対雁(ついしかり)(現・江別市)に移住させられた歴史を概説し、「もともと樺太はロシアや日本のものでなく、少数民族のものだ」と指摘した。
北海道については、「ここは北海道アイヌが住むところで、私たちは間借りしている。侵略者に土地を奪われたことが150年間、延々と続く。日本政府はアイヌの土地を自分たちのものにし、知らないふりをして今、生きている」と述べた。
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