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本邦雄も含めたアンソロジー

2011-05-22 | アイヌ民族関連
(2011年5月20日 読売新聞)

 年も経ぬ祈る契りははつせ山をのへの鐘のよその夕暮れ 藤原定家
 革命歌作詞家に凭(よ)りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ 塚本邦雄
 王朝歌の伝統を受け継いだ鎌倉時代の定家と、戦後の前衛歌人、塚本邦雄の巻が同じ初回配本に並ぶ。日本人に脈々と受け継がれてきた短歌の変遷を一望できるアンソロジー「コレクション日本歌人選」(笠間書院)=写真=が刊行されている。
 歌人や分野ごとに40~50首を気鋭の研究者らが選定し、最新の研究に基づいて解説する。既刊11冊は柿本人麻呂、小野小町、斎藤茂吉といった歌人に、「戦国武将の歌」「辞世の歌」など分野別の巻を加える。
 来年夏までに3期、計60冊を刊行する予定。藤原為家や伏見院、細川幽斎、木下長嘯子(ちょうしょうし)ら中世・近世への目配りは厚い。沖縄のおもろさうし、アイヌのユーカラに一巻をあてる。そして戦後歌人からは寺山修司と塚本邦雄が選ばれた。
 塚本の巻を執筆した島内景二・電通大教授(55)は、「今までのイメージとは違う顔ぶれがそろっている」として、「よくぞ塚本を入れてくれたと思う。現代文学の最先端として、現代短歌が位置づけられるといい」と期待する。歌の歴史を通覧できるシリーズだけに、伝統に立脚しつつも新たな要素を付け加えた定家、西行や定家の影響を受けながら新たな地平を切り開いた塚本――という風に読み比べることもできる。
 アンソロジー自体は30年以上前から企画されていたというが、今回は和歌文学会から「改めて一般の人に向けて歌の世界を紹介したい」と提案があり、その編集協力で実現した。橋本孝編集長は「30年前はまだ研究は発展途上だったが、若い研究者も育ち、ようやく機が熟した」と話す。
 初回配本は偶然、東日本大震災と重なった。「歌人にとって、今何をすべきかの一つの回答になる」と島内教授。ここから、また新たな歌の世界が開かれるかもしれない。(金巻有美)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20110517-OYT8T00705.htm?from=navlk
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