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ウポポイ 80回近く通う小樽の中学生・小川さんのお薦めは? 記者が一緒に訪問<デジタル発>

2023-07-31 | アイヌ民族関連
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北海道新聞2023年7月30日 14:00
 胆振管内白老町にあるアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」は今月、開業3年目を迎えました。3年間で展示や体験プログラムも進化しています。「博物館で文化を学ぶだけでなく、実際に体験できるところが魅力」。80回近くウポポイに通う「ウポポイ博士」の小樽市の中学生、小川神威(かむい)さん(13)はそう話します。6月中旬、「ウポポイ素人」の記者(27)が、小川さんと一緒にウポポイを巡りました。(苫小牧報道部 斎藤雅史)

ウポポイを巡る小川さん(井上浩明撮影)
 やや曇った日曜日の午前8時50分ごろ。「遅いですよ」。施設前で待ち合わせた小川さんは言いました。いつもは午前9時の開場の30分前にはゲート前で待っているそう。入場ゲートがあるエントランス棟には既に5、6人が並んでいました。土曜日や日曜日は、午前10~11時台が混むので「ゆっくり静かに見るなら朝一番に来るのがおすすめです」と小川さん。
 「久しぶり」「元気?」。ゲートをくぐると、職員が小川さんに次々と声をかけてきます。ウポポイに80回近く通う小川さんは、職員ともすっかり顔なじみで、親しげに言葉を交わします。
 ウポポイ施設について紹介しましょう。
民族共生象徴空間(ウポポイ) アイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンターとして2020年7月に開業した。2009年に政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書で「民族共生の象徴となる空間」の整備が提言されたことを受け、2014年に胆振管内白老町での整備が閣議決定された。敷地面積は約10ヘクタール。中核施設の国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園、慰霊施設からなる。総工費約200億円。2019年に施行されたアイヌ施策推進法(アイヌ新法)に基づき、アイヌ民族文化財団(札幌)が運営する。開業から2023年7月11日までの3年間の累計入場者数は89万0573人。政府は年間100万人の入場者数を目指している。
■定期的に替わる展示にワクワク
 まず向かったのは中核施設の国立アイヌ民族博物館。2階にある基本展示室に、神や先祖へのお供え物として使われるイナウ(木幣)やアイヌ民族の着物が並んでいます。男性用と女性用とで文様や色の使い方が違います。小川さんは「縫い目の繊細さにひかれる。展示されている着物は2~3カ月おきに替わるので毎回、テンションが上がる」と笑顔で話します。通い続けるからこその楽しみですね。
 小川さんがアイヌ文化に興味を持った背景には両親の存在があります。名前の読みの「カムイ」はアイヌ語で「神」の意味。両親は伝統弦楽器トンコリの奏者OKI(オキ)さん=上川管内当麻町在住=の音楽が好き。言葉の意味や音の響きから小川さんの名前を決めました。小川さんが幼いころから、家族でアイヌ関連のイベントに出かけてきました。
 小川さんはウポポイ開業でアイヌ民族への関心が高まり、「アイヌ神謡集」をまとめた知里幸恵に関する漫画や関連書籍を読むようになりました。「物を大切に使ったり、自然と共存したりする暮らしに魅力を感じる」という小川さん。長期休みの度に、1人で小樽からJRを乗り継いで白老町に来て祖母宅に泊まり込み、ウポポイに通っています。
 小川さんがウポポイで熱中しているのが、アイヌ文様の刺しゅう体験です。工房に移動し、受付で午前10時からの刺しゅう体験の予約をしてから、伝統的な生活を体感できるチセ(家屋)が再現された伝統的コタンエリアに向かいます。時間を有効に活用する工夫です。
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●住所 胆振管内白老町若草町2丁目3
●料金
・1日入場券
大人1200円(団体・960円) 高校生600円(同・480円)
中学生以下無料※団体は20人以上。
・年間パスポート
大人2000円 高校生1000円 ※博物館特別展料金などは別
●開館時間(2024年3月まで)
・7月1日~8月31日は午前9時から午後8時
・9月1日~30日は平日午前9時~午後6時、土日祝日は午前9時~午後8時
・10月1日~31日は午前9時から午後6時
・11月1日~24年3月31日は午前9時から午後5時
●休館日
・月曜日(祝日または休日の場合は翌日以降、ただし8月14日、9月19日、2月5日は開館)
・年末年始、冬期(12月29日~1月3日、2月20~29日)
●ホームページ https://ainu-upopoy.jp/
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/885013/
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