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「蕪島」の語源は“アイヌ語”?

2013-08-23 | アイヌ民族関連
デーリー東北新聞社 Online Service (2013/08/17 14:02)
 5月に三陸復興国立公園へ編入された八戸市の蕪島と種差海岸。その地名の語源については諸説あるが、元青森県教委職員で、元市立島守小校長の杉山武さん(62)=同市=は「アイヌ語語源説」を唱える研究者の一人だ。これまでの調査から、アイヌ語がアイヌ民族の言語だけではなく、全国各地の地名にその痕跡を残している―と考える杉山さん。「国立公園指定を機に、地名の大切さにあらためて注目してほしい」と呼び掛ける。
 杉山さんは県教委職員時代、主に埋蔵文化財を担当し、県内各地の遺跡で発掘調査を手掛けた。その傍ら、地形を意味する言葉が多いアイヌ語に興味を持ち、郷土の地名との関連について独自に研究を続けてきた。
 「蕪島」の地名の由来は一般的に▽野菜のカブの形に似ていることによる▽蕪嶋神社があることから「神嶋(かむしま)」が変化した▽「蕪(かぶ)の花」と呼ばれる菜の花が咲いているから―などの説が知られる。
 杉山さんは、アイヌ語でカモメやウミネコを指す「カピュー」と、岩場を意味する「シュマ」を合わせた地名とする説を採る。「蕪島の一番の特徴はウミネコのはず。この方が語源としてもなじむ」と強調する。
 さらに、「種差」は「タンネ・エサシ(長い岬)」によると主張。「鮫」は海の生物ではなく、蕪島の「サム(そば)」という意味ではないかと推測し、「島脇」という姓が鮫地区に多いのも、その名残としている。自身が編集委員を務めた「新編八戸市史 地誌編」でも、その考えの一端を披露した。
 八戸市内の遺跡には、アイヌ民族のものと分かる出土品や痕跡はほとんど残っておらず、地名に影響を与えるほど大勢のアイヌ民族がいたとは考えにくい。ただ、本州以南では、八戸以外にもアイヌ語で由来を説明できる地名が多数あることを複数の研究者が指摘している。
 「アイヌ語は古代の日本列島の共通語で、それが最北端のアイヌ民族に残ったのではないか」との仮説を立て、アイヌ語の重要性を強調する杉山さん。
 「地名には、かつての地形や風俗などを示すヒントが多く残されている。地名の研究を通じ、郷土の歴史をひもといていきたい」と議論の活発化に期待を寄せる。(井上周平)
【写真説明】
「蕪島=アイヌ語源説」を説明する杉山武さん=八戸市内
※詳しくは本紙紙面をご覧ください。有料携帯サイトにも掲載しています。
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2013/08/17/new1308171402.htm
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