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文明と接触したことのないアマゾン先住民部族“最後の1人”の死

2022-09-18 | 先住民族関連
COURRiER9/17(土) 11:30配信

ブラジルの先住民族たち。いまだに100近い部族が“確認”できていない Photo by Scott Wallace/Getty Images
現代文明とコンタクトを取っていない「未接触部族」あるいは「非接触部族」と呼ばれる人たちがいる。推定では100近くの部族がいまだに現代文明と接触していないとされているが、実態は不明のままだ。そんな「未接触部族」のうちの1つがこの世から消えてしまった。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じる。
「穴の男」の死
アマゾン熱帯雨林のただ中に建つ一軒の小屋へと近づいたブラジル国立先住民保護財団の職員たちは、懸念が現実のものとなったことを知った。彼らはブラジル史上初めて記録に残る形で、未接触部族の消滅を目撃していたのである。
ハンモックに横たわるその男は部族の最後の生き残りであり、既に亡くなっていた。そして彼の死によって一つの文化が丸ごと、千もの謎の答えと共に失われたのである。
彼の名前さえもが一つの謎であった。長年にわたって自身の居住地に何十もの穴を掘っていた彼は、「穴の男」という名でのみ知られている。その年もまた推測するほかはなかった。保護財団の職員たちによれば、60歳くらいに見えたという。
ブラジルは、アマゾンの保全よりも開発を優先するために、近年、先住民族グループへの保護政策を弱体化・衰退させてきた。そのため、この国にとって、彼の死は悲しくも象徴的な出来事となったのだ。
ブラジル国立先住民保護財団FUNAIの職員たちが男の遺体を発見したのは8月23日。ボリビアに国境を接するロンドニア州はタナル先住民地区をパトロール中のことだった。
8月24日のFUNAIの発表によれば、男性は自然死だった可能性が高い。FUNAIは犯罪捜査官に現場の状況を確認させた上で、検死のため遺体を首都ブラジリアに搬送したという。
匿名希望のある職員によれば、財団はDNA鑑定を行った上で遺体を森に戻し埋葬する予定とのことだ。
遺体の写真を確認した先住民族の専門家マルセロ・ドス・サントスによれば、遺体は羽毛に覆われていたという。
「彼は自身の死に備えていたのか。それは誰にもわかりません」とサントス。「彼との交渉は、他の民族グループを含めまったく行われておらず、彼について今以上のことはわかりませんでした。そのため羽毛に覆われていた理由も確かなことは言えないのです」
先住民族は行き場を失っている
未接触部族とは、外界との持続的接触を持たずに存続している集団である。
未接触部族の消滅が記録されたのは今回が初めてだが、専門家によれば、他にも複数の部族が記録されることなく消滅してきた可能性が極めて高いという。
FUNAIの報告によれば、ブラジル国内には外界と隔絶した部族集団が少なくとも114は存在することを示す根拠があるが、そのうち存在が公式に認定されているのはわずか28である。結果、残りの86部族は政府の保護を一切受けられていない。
FUNAIは先住民の行動を観察し、その居住地域を開発から守る責務がある。しかし、現ブラジル大統領ジャイル・ボルソナロはアマゾンの破壊を進める産業を支援しており、その結果、森林伐採が過去最大水準に達してしまったのだ。
ボルソナロ大統領はアマゾンにおける樹木伐採搬出、牧場経営、採鉱経営の規制を緩和すると共に、先住民族グループと保全区域の保護を削減してきた。さらに彼は国家予算と人員の削減によって、先住民族・環境関連法の施行に関わる組織を弱体化させてしまった。
「こうした民族グループの多くが、国や社会に認識されることさえなく消滅しています。これは実に深刻です」とFUNAI所属の先住民専門家ギリェルメ・マルチンは言う。
マルチンによれば「運営幹部が公式にその存在を認めるまで、FUNAIはその居住地を守ることもしませんし、支援基盤を設立することも、居住地の境界画定をすることもありません」とのことだ。
Flávia Milhorance and André Spigariol
https://news.yahoo.co.jp/articles/7ba769fb6f818dcb40893edd7195511545f33e5f
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