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【主張】アイヌ新法 分断招かず振興を図ろう

2019-03-28 | アイヌ民族関連
日本経済新聞2019.3.28 05:00
 政府が、アイヌを初めて「先住民族」と明記したアイヌ新法の今国会成立を目指している。
 新法は、アイヌ文化の継承や振興を目的に市町村が実施する事業に対して、国が交付金を支給する制度の創設が柱だ。アイヌの人々の誇りを回復し、それが尊重される社会を実現する。これを後押しする新法には意味がある。
 ただし、金をばらまくだけのものになっては本末転倒だ。博物館関連施設の建設など多額の資金を投じる以上、資金の使い道の透明性確保はもちろん、無駄のない事業計画の策定が求められる。
 北海道ウタリ協会(現公益社団法人北海道アイヌ協会)の働きかけもあり、平成9年に北海道旧土人保護法が廃止され、アイヌ文化振興法が制定された。その10年後には国連が先住民族権利宣言を採択し、日本も賛成した。これを受けて衆参両院は先住民族認定を国に求める国会決議を採択した。
 アイヌ新法案の国会提出は、この延長線上にある。
 ただ、新法は国連宣言がうたった土地に対する権利などの「先住権」は定めていない。土地や資源の権利に関する話が具体的に浮上すれば、国家の分断を助長しかねないためだ。わが国とは歴史も状況も異なるが、米国など4カ国が国連宣言に反対したのはこれを懸念してのことだろう。
 政府は宣言の定める権利について、居住している国から分離・独立する権利を付与するものではなく、(アイヌ以外の)他者の権利を害してはならないとの立場をとる。財産権も国内法による合理的な制約が課されるものであるという視点に立つ。ここを譲っては国の根幹が揺らぎかねないという判断には妥当性があろう。
 アイヌは全国に1万3千人以上いるとみられるが、だれがアイヌなのかを明確にするのは容易ではない。このため「新法では個人の認定を棚上げした」(内閣官房)という。だからといって、アイヌと関係ない組織が甘い汁を狙って群がるようでは禍根を残す。国や自治体は交付金の管理を徹底する必要がある。
 31年度予算に計上された交付金は10億円に上る。北海道白老町では240億円をかけてアイヌ関連施設も建設予定だ。国会では納税者の視点も忘れず、新法が真にアイヌのためになるよう建設的な議論を交わしてほしい。
https://www.sankei.com/column/news/190328/clm1903280001-n1.html
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