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Suchmosに代表される都会派サウンドの源流・ジャミロクワイ。その足跡を知り、新譜『オートマトン』を堪能する

2017-04-18 | 先住民族関連
M-ON!Press(エムオンプレス)2017.04.15

1992年、音もルックスも一線を画したデビュー
ジャミロクワイがデビューしたのは1992年。Suchmosを好きになってジャミロクワイを知るようになった10代、20代のファンは生まれたばかりか、もしくはまだ生まれていなかった頃に、彼らは鮮烈なサウンドと共にロンドンから現れた。
筆者はリアルタイムで彼らの登場に立ち会っているが、デビューシングル「いつになったら気づくんだい」(原題:When You Gonna Learn)のイントロの怪しげな音色はなんなんだ? そして、70年代のソウルから影響を受けているのはわかるけれど、どうしてこんなに新鮮に聴こえるんだろう? とにかく衝撃的だったことを今も覚えている。
後に、そのイントロはオーストラリア大陸の先住民アボリジニの楽器「ディジュリドゥ」によるものだということ、またバンドの名前はアメリカインディアンのイロコイ族にちなんだものであるということがわかり、同時期の70年代ソウル/ファンクをベースにしたアシッドジャズのグループとは一線を画する個性が音からもルックスからもうかがえた。
そのアシッドジャズは80年代後半にロンドンを中心として興ったムーブメントで、当時ロンドンのクラブシーンではレアグルーヴと呼ばれた、発表当時あまり評価されなかったようなレアなソウルやファンクをプレイするDJが人気を呼んでおり、そのサウンドを耳にした若者たちが自分たちでも演奏を始め、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズやガリアーノ、コーデュロイといったグループがデビューして、シーンの勢いを加速化していった。
日本でもオリジナル・ラヴやモンド・グロッソ、KYOTO JAZZ MASSIVE、United Future Organizationらがロンドンのアシッドジャズシーンと同時進行的に活躍を始めた時期でもあった。
MV「ヴァーチャル・インサニティ」は世界の話題を集め、トップスターに
ジャミロクワイはアシッドジャズが盛り上がりを見せる真っ只中に、さらなる起爆剤としてシーンに投下されたような存在として、デビューシングルに続く2ndシングル「死ぬには早すぎる」(原題:Too Young to Die)はさらなるヒットを記録。全英10位まで上昇した。その勢いをもって、デビューアルバム『ジャミロクワイ』(原題:Emergency on Planet Earth)は全英1位に輝いた。
アシッドジャズやジャミロクワイが熱狂的に受け入れられたのは、そのサウンドが泥臭いソウルやファンクをベースにしていながらも、洗練されたアレンジで都会的に聴かせたところ、そして80年代の軽いタッチの人工的なサウンドへの反動があったからだと考える。
それはSuchmosにも共通して言えることではないだろうか。アシッドジャズが当時70年代の音楽を再発見したように、Suchmosも四半世紀前に全盛期を迎えていたアシッドジャズを再評価し、自らの音楽の一部として取り入れた。さらにEDMや日本の若手ロックバンドの画一的なサウンドが広まっているなかで、やはりSuchmosのサウンドも新鮮に受け止められたのではないだろうか。そんな共通点がジャミロクワイとSuchmosにはある。
ジャミロクワイはその後も人気と快進撃が続いた。1994年発表の2ndアルバム『スペース・カウボーイの逆襲』、1996年発表の3rdアルバム『トラベリング・ウィズアウト・ムービング~ジャミロクワイと旅に出よう~』は共に全英2位と大ヒット。
特に3rdからのシングル「ヴァーチャル・インサニティ」のMVは床が動いているように見えて、実は壁が動いているという不思議な空間の中で、ボーカルのジェイ・ケイが動き回る映像が高く評価されて、MTVビデオ・ミュージック・アワードで4部門受賞した。
より躍動感が増したサウンドと、多彩になったアレンジがジャミロクワイの音楽性を高めていき、1999年発表の『シンクロナイズド』は再び全英1位に返り咲く。リードシングルの「キャンド・ヒート」はディスコサウンドを大胆に導入。ライブでも必殺のトラックとなった。
2002年には東京ドーム公演も行われるなど、まさに絶頂を迎えていたジャミロクワイだったが、徐々にリリースのペースも遅くなっていき、彼らのサウンドも新味が失われていった。2005年の6thアルバム『ダイナマイト』、2010年の7thアルバム『ロック・ダスト・ライト・スター』はサウンドのクオリティは保持していたものの、どこか聴いたことのある印象がする曲が多かったのも事実だった。
さらに一歩先を行く“フューチャーファンク”を見せつける突然の活動再開
2010年以降、彼らの消息はあまり伝わってこなくなり、ジャミロクワイはどうしているのかと時々思っていたところに、今年1月に突然YouTubeに活動再開を予期させる映像を投稿。世界が彼らの動きに注視するなか、7年ぶりのシングル「オートマトン」、そして「クラウド9」がリリースされた。
その2曲はエレクトリックなテイストをふりまきながらも、これまでのジャミロクワイらしいグルーヴが芯にある仕上がりになっている。そこから感じられるのは攻めの姿勢だ。
2010年以降にダフト・パンクやマーク・ロンソン、ブルーノ・マーズたちが、ジャミロクワイが得意とするファンクやディスコを取り入れたサウンドで大ヒット。その動きを横目で見ていたジャミロクワイは彼らに便乗するのではなく、さらに一歩先を行く、彼らにどうだと言わんばかりの“フューチャーファンク”なサウンドを作り上げて見せつけたのだった。
最新アルバム『オートマトン』はどこから切っても、そんなジャミロクワイの意思が感じ取れる。5月に行われる5年ぶりの来日公演は追加も含めてソールドアウト。ジャミロクワイが第一線に戻ってきたのをアルバムだけではなく、ライブでも実感できる一夜になりそうだ。
TEXT BY 油納将志(British Music in Japan)
https://www.m-on-music.jp/0000197875/
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