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オーロラは不吉な予兆 ── オーストラリア先住民の伝承を読み解く

2024-05-13 | 先住民族関連

ニューズウィーク2024/05/12

ビクトリア州メルボルン郊外のブライトン・ビーチ上空に出現した今回のオーロラ。赤い色が際立っているのがよくわかる。(WOW 4K | The Aurora Australis is captured at Brighton Beach in Melbourne 12 May 2024 credit: iamkloklo YouTube Channel)

太陽活動の活発化に伴い、NASA観測史上において最大規模となる「Xクラス」のフレアが複数回発生。5月10日頃から12日未明にかけて、世界各地でオーロラが観測された。

オーストラリアでもタスマニアを始め、各地でオーロラが観測され、SNSを賑わせたが、残念ながらシドニー近郊では、雨が降っていて見られない!とぼやく人も多かったようだ。

今回のオーロラは、緯度の低い場所にも出現し、日本でも広範囲で観測されたため、その美しさに魅了された人も多かったと思うが、キレイだと喜んでばかりもいられない。なぜならば、オーストラリア先住民の人々の間では、不吉なことが起こる前兆と言われているからだ。
オーロラの赤い色は「火」「血」「死」

南半球で観測されるオーロラは、「オーロラ・オーストラリス」と呼ばれ、今回のような観測史上最大級と言われるような爆発的な太陽フレアが発生しなくても、タスマニアやビクトリア州南部などの南端に位置する地域では、ときおり観ることができる。

ただ、さほど緯度が高くないため、オーロラ観測で有名な極地に近い都市に比べると、発生率はそれほど高くない。また稀に、十数年または数十年に一度くらいは、キャンベラやシドニー、ウルルあたりでも観測されることがある。こうした自然現象をつぶさに観察し、その現象が及ぼす影響を戒めとして伝えてきたのが、オーストラリアの先住民たちだ。

「オーストラリアの先住民」といっても、250以上の異なる言語を持つグループがあるのだが、オーロラにまつわる伝承を持つどのグループも、オーロラを火、血、死、前兆と関連付けているというのが興味深い。

https://www.youtube.com/watch?v=7Qrt68wKP8A&t=133s

ビクトリア州メルボルン郊外のブライトン・ビーチ上空に出現した今回のオーロラ。(WOW 4K | The Aurora Australis is captured at Brighton Beach in Melbourne 12 May 2024 credit: iamkloklo YouTube Channel)

オーストラリアの上空に出現するオーロラは、赤みを帯びているため、空が赤く染まる様子を見た先住民の人々が、「火」を連想するのは想像に難くない。先住民の人々は、オーロラを「宇宙の火」として見ていたと言うが、なかには、「灰」と関連付けてきたグループもあり、こうした各地の伝承を合わせると、火が起きて灰になるという繋がりが見えてくる。

火が起きて灰になる...という、物事の終わりを意味するのではないか?

これが単なる連想ゲームではないことを祈りたいが、何千年もその文化を継承してきた先住民たちが恐れ、天罰が迫っていることを知らせる現象としてきたことを忘れることはできない。

各地の先住民族の間に残る不吉な伝承

先住民たちは、オーロラに対する恐怖を行動や社会規範を制御するために利用してきたというが、その内容はざっと以下のような感じで、今聞いてもゾッとするような話ばかりだ。(参照

 ・(オーロラは)霊界の山火事であり、大災害が迫る前兆
 ・(オーロラは)言いつけを破ったために天空の祖先の怒りに触れ、地球を破壊するために落とした火
 ・(オーロラは)掟を破ったために、罰が迫っていることを知らせる有毒な炎
 ・(オーロラは)伝統的法律を破ったために誰かが罰せられるという警告であり、大きな恐怖を引き起こす
 ・(オーロラは)空で大戦を戦う戦士たちが流した血、または死者の霊が天に昇ることを象徴

などなど・・・・

どれもこれも不吉で、悪いことが起こるのではないかと連想してしまう人もいるのではないだろうか。先住民たちが伝えてきた火、血、死、そして前兆というキーワードに沿ってみていくと、以下のようにも連想できる。

大規模な山火事、または火山噴火、または戦争が起き、負傷した者が血を流し、死者がでる...そして、地球の終わりが訪れる・・・?

遥か昔から不吉なことが起こる予兆とされてきたオーロラの、広範囲に及ぶ出現は一体何を意味するのか。2024年もそろそろ半分に差し掛かる。この後、何事もなければいいのだが...なんとなく胸騒ぎがして仕方ないのは、私だけだろうか。〈了〉

https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/hirano/2024/05/post-101.php

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