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アイヌの生活「改善」…道調査

2018-06-20 | アイヌ民族関連
読売新聞2018年06月19日
生活保護受給減/大学進学増33%
 道内のアイヌの生活保護受給率や大学進学率が、以前に比べて改善されていることが、道が18日に公表したアイヌ生活実態調査で分かった。ただ、把握できたアイヌの総数は激減しており、アイヌに対する調査の難しさも浮き彫りになった。

総数把握難しく3668人減
 道は1972年からほぼ7年ごとに実態調査を行っている。政府が2020年の制定を目指しているアイヌ新法の参考資料とするため、8回目となる今回は当初予定より3年早めて、昨年11月現在で行った。
 その結果、把握できたアイヌの総数は、63市町村の1万3118人で、前回(13年)より3668人(21・9%)も減少。前回も6996人(29・4%)減っており、この11年間で1万人以上減ったことになる。
 アイヌの総数は1979年から2006年まで2万3000~2万4000人で推移していた。近年の激減について、道アイヌ政策推進局は、アイヌの人口自体が減っているわけではなく、「個人情報保護の意識が高まり、調査を委託した自治体が把握しにくくなっていることが背景にある」との見解を示した。
 生活実態について、人口1000人当たりの生活保護受給者数は36・1人で、前回より8・7人減少。受給者が住む市町村全体との格差は、1・4倍から1・1倍に縮まった。また、大学進学率は33・3%で、7・5ポイント上昇した。居住市町村の全体との格差は、前回の0・6倍から0・7倍に縮小したが、今なお格差が存在している。
 差別された経験について、「受けたことがある」は23・2%でほぼ前回並み。「他人が受けたのを知っている」は13・1%と、3・5ポイント上昇しており、依然として差別が根強いことがうかがえる。
 今回は、アイヌ政策の再構築に望むものや、白老町に20年完成予定の民族共生象徴空間の認知度などについて新たに調査した。政策で望むものは、子弟教育が最も多く50・5%。次いで、生活と雇用の安定36・4%、文化の保存伝承28・8%と続いた。象徴空間は「あまり知らない」と「まったく知らない」が計55・0%と課題を残した。
 生活保護や進学率の改善について、道アイヌ政策推進局は「国民全体の水準が上がってきていることに加え、各種のアイヌ支援政策が奏功しているのではないか」としている。
 一方、道アイヌ協会の阿部一司・副理事長はこれらの結果について、「アイヌの過去の戸籍を調べれば、総数を正確に把握できるはず。これでは実態調査とは言えない」と反発している。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20180619-OYTNT50033.html

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この夏、グッと近くなる東北海道でインスタ旅へ!PR

2018-06-20 | アイヌ民族関連
ニュースウォーカー2018/06/18 18:00
緑あふれる自然に、涼しい気候… でも北海道の夏はそれだけじゃない! 心癒される動物たちと出会えたり、色鮮やかな海鮮丼やアイヌ料理、胸キュンな雑貨屋巡りができたりと、北海道の東エリアは屈指のインスタ映えスポット天国、なんです。
8/1(水)よりLCCのPeachが北海道の東エリアに就航。大阪(関西)から釧路空港まで、片道5290円~(支払手数料、空港使用料等は別途必要)と、グッと身近になります。この夏、つい自慢したくなる東北海道のインスタ映えスポットをご紹介します。
野生のヒグマ
野生動物の宝庫、知床。知床半島のウトロクルーズ「ルシャコース」なら、船からヒグマに出会えるかも?
知床半島 ウトロクルーズ「ルシャコース」■住所:斜里町ウトロ東51  ■電話:0152・24・3060(ゴジラ岩観光)  ■時間:7:00~18:00 ■休み:荒天時休業  ■料金:大人5500円、小学生2750円、幼児無料
釧路湿原(ノロッコ号)
野趣あふれる釧路湿原のど真ん中を走るノロッコ号。ウッディ調の特別列車からながめる大自然は旅に思い出になること間違いなし!
釧路湿原(ノロッコ号)■電話:011・222・7111(JR北海道電話案内センター) 1日2往復4本、9月末~10月初旬は1往復2本 ■料金:釧路~塘路間540円※指定席520円別途要
色鮮やかなアイヌ料理
北海道ならではのアイヌグルメも味わえます。特にこのポッチェピザは、アイヌの保存食だったポッチェイモを生地に使用。アイヌの伝統文様を思わせる見た目もきれいです。
民芸喫茶ポロンノ ■住所:釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-8 ■電話:0154・67・2159 ■時間:12:00~22:00(L.O.21:30)15:00~18:00は仕込みのため準備中になることがあります ■休み:不定(休みの日はSNSで告知)
神の子池
見る場所によってコバルトブルーやエメラルドグリーンに輝く、澄みきった池。あまりの美しさに息をのみますよ!
神の子池 ■住所:清里町緑町 ■電話:0152・25・4111(きよさと観光協会) ■時間:24時間 ■休み:なし(冬期は積雪による閉鎖もあり)
イクラ丼
北海道に来たらやっぱり海鮮! 中でも海の宝石が光るイクラ丼はぜひ味わいたいですね。サケ×イクラの親子丼は、北海道ならではのコンビネーションですよ!
北の国から 純の番屋 ■住所:羅臼町礼文町2-8 ■電話:0153・87・5667 ■営業時間:8:30~16:00(L.O.) ■休み:なし(11月~4月中旬は冬期休業)
タンチョウのヒナ
生まれたばかりのタンチョウのヒナはぜひチェック! タンチョウが飛び交う広大な自然公園はゆったりと探索したいですね。
釧路市丹頂鶴自然公園 ■住所:釧路市鶴丘112 ■電話:0154・56・2219 ■時間:4/10~体育の日9:00~18:00 体育の日の翌日~4/9 9:00~16:00 ■休み:なし ■入園料大人470円、 小中学生110円
天に続く道
まさに天まで届きそうな極上ルート! 北海道のスケールを体感できるスポットはぜひカメラに収めたいですね!
天に続く道 ■住所:斜里町峰浜 ■電話:0152・22・2125(知床斜里町観光協会)  ■時間:24時間
霧の摩周湖
いつも霧がかかり、神聖な空気が漂う摩周湖。特に日の出の雲海を見ることができたら、最高にファンタスティックですよ!
摩周湖 ■住所:弟子屈町弟子屈原野 ■電話:015・482・1530(摩周湖レストハウス) ■時間:24時間

オシャレなカフェ
あちこち観光したら、カフェでブレイク。街路樹が並ぶ温泉街に佇む小粋なカフェでは、季節のフルーツを使ったケーキやひんやりスイーツが楽しめますよ。
森のホール ■住所:弟子屈町川湯駅前2 ■電話:015・483・2906 ■時間:9:30~18:00(冬季~17時まで)■休み:火曜、第2・第4月曜
色とりどりの雑貨
旅の思い出に、オシャレな雑貨はいかが? ぬくもりを感じるナチュラルな雑貨や手作りパンで人気のこの店では、かわいい海外からの輸入雑貨にも目移りしそうです。
PANAPANA ■住所:弟子屈町川湯駅前1-1-14 ■電話:015・483・3188 ■時間: 10:00 ~ 18:00 ■休み:水曜日・第4火曜※冬季に買いつけでの休みあり
東北海道は、まだまだ知らないスポットにあふれています。この夏、新たな旅のアルバムを作りに、出かけてみませんか?
【関西ウォーカー編集部/PR】
山崎伸子
https://news.walkerplus.com/article/149709/

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歴史・鉄道紀行の名手、芦原伸が、明治日本の辺境を旅した英国人女性旅行家イザベラ・バードの歩いた道を追った

2018-06-20 | アイヌ民族関連
『新にっぽん奥地紀行 イザベラ・バードを鉄道でゆく』(芦原 伸・著)を発刊
PR TIMES 2018年6月19日 12時00分

 紀行作家・芦原伸が雑誌『旅と鉄道』で約3年にわたって連載してきた「イザベラ・バードの足跡を訪ねて 鉄道にっぽん奥地紀行」が、単行本になりました。開国間もない明治11年に日本へやって来て、東北の村々から北海道のアイヌ集落までにいたる過酷な旅路を、通訳兼案内人の若者一人をつれて歩いたイザベラ・バード。著書『日本奥地紀行』を残した彼女の旅を、150年の時を超えて芦原伸が追体験しました。ただし、旅の手段は鉄道、ローカル線。彼女が訪れた場所や泊まった宿を訪ね歩きながら見えてきたのは、現代の私たちが忘れてしまった明治の日本人たちの姿でした。
明治維新から150年の今、近代の日本を見直すのにふさわしい歴史紀行書です。
<目次>
第1章 横浜  日本の青春時代に思いをはせる
第2章 東京  攘夷の嵐と首都のきらめき
第3章 日光  妖精のいる美しい宿で
第4章 会津  日本は“おとぎの国”ではなかった
第5章 大内宿 バード、奥会津の宿場町をゆく
第6章 新潟  水の都で出会った伝道師たち
第7章 置賜  実り豊かな東洋のアルカディア
第8章 上山  温泉・城下町で長旅の疲れを癒やす
第9章 秋田  明るく陽気な風景と祭の賑わい
第10章 大館  舟の事故にも動じなかった鋼の淑女
第11章 黒石  バードの心の打った礼節と親切
第12章 函館  未踏の地、北海道に到達
第13章 噴火湾 どこか故郷に似ていた北の大地
第14章 室蘭  アイヌによって解放されたバードの心
第15章 勇払原野 あらゆるものの果ての地
第16章 平取・二風谷 終着点でバードが見たもの
あとがき
【著者プロフィール】
芦原 伸(あしはら・しん)
1946年生まれ。ノンフィクション作家、紀行作家。北海道大学文学部卒。日本ペンクラブ、日本文藝家教会、日本旅行作家協会会員、株式会社天夢人 Temjin 相談役。元『旅と鉄道』編集長。“現場主義”を貫き、地球規模の旅を続けている。『被災鉄道〜復興への道』(講談社)で、第40回交通図書賞を受賞。近著に『呑み鉄、ひとり旅〜乗り鉄の王様がゆく』(東京新聞)、『へるん先生の汽車旅行〜小泉八雲と不思議の国・日本』(集英社文庫)、『完全保存版 西部劇を読む事典』(天夢人)がある。
【書誌情報】
書名:『新にっぽん奥地紀行 イザベラ・バードを鉄道でゆく』
著者:芦原 伸
仕様:四六判、188×128ミリ、320ページ
定価:本体1600円+税
発売日:2018年6月20日
全国書店、オンライン書店のAmazonなどで発売中。http://amzn.asia/1iPcY3X
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002217.000005875.html

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「ゴールデンカムイ」コンサドーレを応援 合同キャンペーン

2018-06-20 | アイヌ民族関連
日本経済新聞2018/6/19付
 サッカーJリーグ1部(J1)の北海道コンサドーレ札幌は7月22日のジュビロ磐田戦(札幌厚別公園競技場)に合わせ、アイヌ民族の少女が活躍するアニメ「ゴールデンカムイ」と合同キャンペーンを行う。
 第1弾として、アニメキャラクターとコンサ…
[有料会員限定] この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31912450Y8A610C1L41000/

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ある琉球人の生涯(中) 日本統治時代の台湾 琉球人は「2等国民」

2018-06-20 | ウチナー・沖縄
西日本新聞 2018年06月18日 08時00分

人類館に「展示」された人たち(関西沖縄文庫提供)
 台湾の李樹全さん(96)が台湾が日本の支配下にあった当時に世話になった元台湾の公学校(現国民小学校)訓導(教員)石垣朝清さん=1961年に死去=は自身の家系を大切にしていた。
 手帳に挟まれていた手書きの家系図からもうかがえる。朝清さんが最後に暮らした長崎市の親族が保管していたその家系図には、「源河某」を起点に朝清さんの孫まで、7世代分が書き込まれている。源河某は、1808(文化5)年に石垣に赴任してきた琉球王国の役人とみられる。家系図には「宮良家」「大山家」といった女性の嫁ぎ先もつぶさに記されている。
 朝清さんが1915(大正4)年に、その名を石垣用法から朝清に変えた頃、彼は石垣島の小学校に訓導として勤めていた。島は貧しく、子どもたちは誰もがはだし。島ではコレラやマラリアの感染も珍しくなかった。
 一族には、朝清さんと同様に教員になった人が多く、医師や薬剤師もいた。「古風な立身出世を是とする家だった」。朝清さんの末弟の孫、桃塚薫さん(47)=東京=はそう振り返る。
 さらなる立身出世を目指したのか、朝清さんはその後、石垣島の西約100キロにある与那国島で訓導となり、1921年7月に依願退職すると、さらに西の台湾に向かった。日本統治下の台湾・台北は「第2の東京」とも呼ばれる都会だった。広い道の両側に、整然と商店が並び、カフェの店内には洋服姿の女性がほほえんでいた。
 □ □
 朝清さんは21年11月に「乙種公学校教諭」の免許を取得し、翌年に32歳で公学校の訓導になった。朝清さんの長崎にある墓を参った李さんを教えたのは、13年後の45歳の時だった。
 元は士族の家系だった朝清さんは台北で、出自に対する差別を目の当たりにした。日本人は1等国民、琉球人(沖縄県人)は2等国民、台湾人は3等国民-。石垣島では見えにくかった差別意識が、生活の中にあからさまに入り込んでいた。
 朝清さんが台湾で暮らしていた頃、台湾で生まれ育った宮里ミエ子さん(92)=沖縄県東村=は、当時を印象深く覚えている。
 小学生の頃、友人は沖縄県人を指し「あの人は沖縄の人。本当の日本人じゃないよ」と陰口をたたいた。高等女学校では教師が本籍地を尋ね、沖縄県人の級友は身を縮めて手を挙げていた。
 当時、沖縄差別は、日本全体を覆っていた。大阪では琉球人などを見せ物にする「人類館」差別事件も起きた。沖縄の新聞社・琉球新報は「台湾の生蕃(せいばん)や北海道のアイヌと同列に下等動物同様に見せ物として…」と報じ、「沖縄も日本だ」と訴えた。ただその表現には、台湾やアイヌと区別する別の意味の差別意識も潜んでいた。
 この事件を検証している「関西沖縄文庫」主宰の金城馨さんによると、当時は中止されることもなく5カ月近く展示された。差別事件として公に初めて取り上げられたのは戦後20年以上たってからだった。金城さんは「事件として正されてはおらず、その構図は現代にもつながっている」と指摘する。
 沖縄出身を理由に就職を断られ、昇進が遅れるといった事案も日常的にあり、差別から逃れるため、住んだこともない日本本土に、本籍を移し、沖縄出身と分からないようにする人も少なくなかった。
 朝清さんも24年、沖縄県から長崎県に転籍する。しかし、この転籍が終戦後の朝清さんの人生に大きく影響することとなる。
▼「人類館」事件 1903年に大阪であった第5回内国勧業博覧会の会場の外に、見せ物小屋「学術人類館」が作られ、民族衣装を着た琉球人、アイヌ(民族)、台湾高砂族(先住民)、アフリカ人などが「展示」された。「性質が荒々しいのでどんなことをするか分からないから笑ったりするな」という立て札もあった。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/article/425476/

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【プロの眼】台湾映画の復活と18年期待の新作台湾映画界のプロ 西本有里(最終回)

2018-06-20 | 先住民族関連
NNA ASIA 2018/06/20(水)
皆さんこんにちは。最終回は、1980~90年代のニューシネマ、2000年代前半の人形劇映画のヒットを経て、台湾映画の復活がうたわれた08年以降の台湾映画市場についてリポートします。 
■純愛映画が口コミで20億円の大ヒット
2008年晩夏、台湾映画界に大事件が起こりました。楊徳昌(エドワード・ヤン)監督など、巨匠の元で経験を積んだ新人監督、魏徳聖(ウェイ・ダーション)の『海角七号/君想う、国境の南』が大ヒット。当時、台湾歴代最高の興行収入(興収)を誇っていた『タイタニック』(1997年)に次ぐ5億3,000万台湾ドル(約19億6,000万円)という驚異的な記録を打ち立てたのです。
日本統治時代の1940年代と現代の台湾を舞台に、約60年間届かなかったラブレターが2つの時代をつなぐというストーリー。ラブロマンスの枠に収まらない笑いあり涙ありの展開を、情感あふれる音楽でつなぎ、老若男女の心をがっしりキャッチ。口コミ効果でリピーターが続出し、社会現象的なヒットにつながりました。
当時の台湾国産映画市場は、商業的にはどん底の状態で、台北地区(※注)の興収の市場占有率(シェア)を例にすると、国産映画の割合は0.3%~3%という低さ。日本は02年に邦画興収比率が過去最低を記録しましたが、それでも27.1%。台湾映画の苦境は歴然です。07年は李安(アン・リー)監督の米国、中国、台湾、香港合作映画『ラスト、コーション』がヒットし、占有率は7.4%まで上昇しましたが、『海角七号/君想う、国境の南』が当たった08年は、純台湾映画のみで一気に12%の大台に乗せる快挙を成し遂げたのです。
活気を取り戻した台湾映画界は、その後、ヒットの目安である興収1億台湾ドルを超える作品をコンスタントに送り出し始めます。
10年公開の『モンガに散る』は、俳優出身の鈕承澤(ニウ・チェンザー)が監督した青春任侠ドラマ。疾走感あふれる映像とエモーショナルな演出で、裏社会で生きる若者の友情と絆を描き、2億6,000万台湾ドルを稼ぎ出しました。その他にも、父の葬儀を巡って巻き起こる悲喜こもごもをユーモラスに描いた『父の初七日』や、陳駿霖(アービィン・チェン)監督のデビュー作『台北の朝、僕は恋をする』など、佳作の小ヒットが続きました。
■コメディーから歴史大作まで名作続出
11年は「台湾で“ウケる”映画がどのジャンルなのか、検証が行われた年」と言えるかもしれません。その口火を切ったのは、旧正月に公開されたドタバタ人情コメディー『鶏排英雄(ナイトマーケット・ヒーロー)』。新人の葉天倫(イェ・ティエンルン)監督がメガホンを取った本作は、コメディアンの豬哥亮(ジュー・ガーリャン)の人気も手伝い、興収1億4,000万台湾ドルを記録しました。これを受け、「賀歳片」と呼ばれる家族全員で楽しめる正月映画がジャンルとして確立され、ジュー・ガーリャン主演の『大尾鱸鰻』(13年)や『大喜臨門』(15年)など、ヒット作が毎年生まれました。
また、人気ネット作家の九把刀(ギデンズ・コー)が自伝的小説を自ら映画化した『あの頃、君を追いかけた』も、興収4億2,500万台湾ドルの大ヒット。香港でも当たり、この年の中華圏映画興収1位に輝きました。これをきっかけに、過ぎ去った青春時代を振り返る“回顧型青春恋愛映画”が、一つのジャンルとして存在感を示し、後に『私の少女時代-OUR TIMES-』(15年)などの名作が誕生します。
そして11年の台湾映画界で、最大の出来事となったのが『セデック・バレ』上下編の公開です。1930年に起きた台湾先住民族の抗日暴動「霧社事件」を描いた歴史大作で、監督は冒頭で紹介したウェイ・ダーション。総統府でのプレミア上映など大々的な宣伝が功を奏し、トータル興収7億9,000万台湾ドルのメガヒットとなりました。
この系列では、ウェイ・ダーションのプロデュース、永瀬正敏主演で、日本統治時代の野球部の活躍を描いた『KANO 1931海の向こうの甲子園』(14年)も興収3億4,000万台湾ドルの成功を収めました。
しかし、16年より台湾映画の勢いに陰りが見え始め、同年に興収1億台湾ドルを超えた作品はわずか2本に減少してしまいます。人気ネット作家の藤井樹が、本名の呉子雲(ウー・ズーユン)名義で監督した、回顧型青春恋愛映画『六弄珈琲館』は興収7,000万台湾ドル以下と苦戦。同ジャンルの『私を月に連れてって』(17年)も1,500万台湾ドルを下回る結果となりました。
17年も厳しい状況が続きました。ウェイ・ダーションのミュージカル映画『52Hzのラヴソング』、陳玉勲(チェン・ユーシュン)の『建忘村』、ギデンズ・コーの学園ホラー『怪怪怪怪物!』と、業界をけん引してきた3監督の作品が公開されるものの、いずれも興収5,000万台湾ドル以下という厳しい結果に。常に興収1億台湾ドル以上を稼いでいたジュー・ガーリャン主演作も同じ状況で、『大釣哥』は同年5月に亡くなった彼の遺作となったにもかかわらず7,000万台湾ドル以下という結果になりました。
一方、目立ったのがホラーやサスペンスなど、ジャンル映画の増加です。『紅衣小女孩(赤い服の少女)2』(17年)や『目撃者 闇の中の瞳』(17年)が商業的に成功を収めていますが、全体としてみれば、観客が既定路線の映画に飽き始めていることが明るみになった年と言えるでしょう。
ウェイ・ダーション監督作品の『セデック・バレ』(C) Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.
■オリジナル性が台湾映画の魅力
08年からのこの10年間、台湾映画界は興収的には山あり谷ありでした。しかし、ウェイ・ダーション、イェ・ティエンルンといった新しい才能が登場したほか、小説家出身のギデンズ・コーなど、映画界で実績のなかった人々が、独自性のあるアイデアでヒット作品を生むという健全な動きも見られました。邦画のヒット作は、知名度の高い原作ありきで、大手映画配給会社、テレビ局、広告代理店、出版社など、資金もノウハウもある企業が組んで製作するのが一般的です。一方、台湾にはこのように確立された産業システムがないことが逆に、オリジナリティーあふれる作品を生み出す原動力になっていると感じます。個人的には、台湾映画のさらなる飛躍には、既定のヒットジャンルにこだわらない脚本重視の映画製作、そして脚本を読み解けるプロデューサーの育成が肝要だと考えています。
最後に、18年の注目作品をご紹介します。ヒットメーカー葉如芬(イェ・ルーフェン)プロデュースのスリラーコメディー『切小金家的旅館(切小金の旅館)』は7月公開予定。それ以外に、香港発の社会派オムニバス映画『十年』の台湾版『十年台湾』や、テレビドラマ『イタズラな恋愛白書~In Time With You?』の脚本家、徐譽庭(シュー・ユーティン)の監督デビュー作『誰先愛上他的(誰が先に彼を愛したか)』など興味深い作品が公開を控えています。本コラムが、今後の台湾映画のさらなる展開に期待していただくきっかけになれば、これよりうれしいことはありません。
(注:映画興行収入が公式発表されているのは台北地区の映画館のみで、全省の統計値は未公開)
<プロフィール>西本有里(にしもと・ゆり)
早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。大学時代からアジア映画に傾倒し、東宝に入社するも、2001年から台湾へ移住。現在は台湾伝統芸能人形劇「布袋劇」の制作会社、霹靂国際マルチメディアでプロデューサーとして勤務する傍ら、翻訳、字幕翻訳、通訳、映像・出版コーディネート業を生業としている。
※特集「プロの眼」は、アジア経済を観るNNAの新媒体「NNAカンパサール」2018年6月号<http://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。
https://www.nna.jp/news/show/1776490

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