北海道新聞 (05/07 16:00)
【函館】ひと針、ひと針、思いを込めて―。函館の歴史をたどる市民創作劇「函館野外劇」に出演経験のある主婦たちが今春、得意の裁縫を生かし、野外劇の衣装で用いるアイヌ民族の「マタンプシ」(鉢巻き)の制作を続けている。作品は、実際に野外劇で使ってもらえるよう、劇を主催するNPO法人に贈る予定。既に出来上がったマタンプシは、5月中旬まで、喫茶ルポ(函館市五稜郭町)で展示している。
制作しているのは金田恵美子さん(77)ら市内や近郊在住の6人のメンバーで、四半世紀の歴史がある野外劇の創設時に劇に出演していた。すでに全員が舞台からは退いているものの、今年、五稜郭が築造150周年の節目を迎えたため、「野外劇を盛り上げたい」と金田さんがマタンプシ作りを、かつての共演者たちに提案した。
マタンプシは本来、アイヌ文様の刺しゅうが施されているが、制作には手間や時間がかかるため、これまでの野外劇では、本来の刺しゅうとは違う代用品を使ってきたという。金田さんは「自分たちが舞台に立っていた頃から、作りたいと思っていたんです」と思いを語る。
制作には、金田さんたちが常連客として通う喫茶ルポ店主の岡島聰枝さんが、店内の一部を提供。6人は2月から月2回集まり、黒やベージュ色などの布地に、赤や緑、黄色などの糸でアイヌ文様を刺しゅうし、マタンプシを仕上げている。目を引く配色は、夜間の舞台上でも目立つよう、相談しながら決めたオリジナルだ。
メンバーは舞台に立っていた当時の写真を持ち寄り、「アイヌ民族やキリシタン、シスターと1人で何役もこなしたよね」と、語り合いながら手を動かす。今夏の野外劇は、舞台の設営場所に近い五稜郭跡の石垣が崩れたため、上演できるかどうかはまだ不透明だが、メンバーたちは「どんな形でも野外劇は行うはず」と話す。
喫茶店で現在展示しているのは22点。メンバーの1人で市内在住の青木貞子さん(77)は「色彩が上手に表現できた」と満足げ。80歳まで舞台に立っていたという七飯町の相沢マサ子さん(87)は「せっかく作ったから、これを身に着けてまた野外劇に出演したいね」と笑顔で話す。6人は30本を目標に、制作を続ける。(堺麻那)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/537727.html
【函館】ひと針、ひと針、思いを込めて―。函館の歴史をたどる市民創作劇「函館野外劇」に出演経験のある主婦たちが今春、得意の裁縫を生かし、野外劇の衣装で用いるアイヌ民族の「マタンプシ」(鉢巻き)の制作を続けている。作品は、実際に野外劇で使ってもらえるよう、劇を主催するNPO法人に贈る予定。既に出来上がったマタンプシは、5月中旬まで、喫茶ルポ(函館市五稜郭町)で展示している。
制作しているのは金田恵美子さん(77)ら市内や近郊在住の6人のメンバーで、四半世紀の歴史がある野外劇の創設時に劇に出演していた。すでに全員が舞台からは退いているものの、今年、五稜郭が築造150周年の節目を迎えたため、「野外劇を盛り上げたい」と金田さんがマタンプシ作りを、かつての共演者たちに提案した。
マタンプシは本来、アイヌ文様の刺しゅうが施されているが、制作には手間や時間がかかるため、これまでの野外劇では、本来の刺しゅうとは違う代用品を使ってきたという。金田さんは「自分たちが舞台に立っていた頃から、作りたいと思っていたんです」と思いを語る。
制作には、金田さんたちが常連客として通う喫茶ルポ店主の岡島聰枝さんが、店内の一部を提供。6人は2月から月2回集まり、黒やベージュ色などの布地に、赤や緑、黄色などの糸でアイヌ文様を刺しゅうし、マタンプシを仕上げている。目を引く配色は、夜間の舞台上でも目立つよう、相談しながら決めたオリジナルだ。
メンバーは舞台に立っていた当時の写真を持ち寄り、「アイヌ民族やキリシタン、シスターと1人で何役もこなしたよね」と、語り合いながら手を動かす。今夏の野外劇は、舞台の設営場所に近い五稜郭跡の石垣が崩れたため、上演できるかどうかはまだ不透明だが、メンバーたちは「どんな形でも野外劇は行うはず」と話す。
喫茶店で現在展示しているのは22点。メンバーの1人で市内在住の青木貞子さん(77)は「色彩が上手に表現できた」と満足げ。80歳まで舞台に立っていたという七飯町の相沢マサ子さん(87)は「せっかく作ったから、これを身に着けてまた野外劇に出演したいね」と笑顔で話す。6人は30本を目標に、制作を続ける。(堺麻那)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/537727.html