msn産経ニュース 2011.3.7 07:56
カナダの極北に、日本の伝統的な版画技術が伝わっていた-。東京・赤坂のカナダ大使館で開かれている「旅する版画 イヌイットの版画のはじまりと日本」が興味深い。先住民族、イヌイットの版画を紹介する展覧会だ。版画は、北極圏の島にある小さな町、ケープドーセットの重要な“工芸品”。展示では、その版画制作に影響を与えた日本人版画家らの作品もあわせて紹介されている。
ケープドーセットで版画制作が始まったのは1957年。カナダ政府職員のジェームズ・ヒューストン(1921~2005年)が、イヌイットが狩猟のほかに定期収入を得る手段として版画制作の手法を教えたのがきっかけだった。
ヒューストンは58~59年、版画をより深く理解するために来日。版画家の平塚運一(うんいち)(1895~1997年)に師事したほか、彫る人と刷る人がいる分業制作の現場や水墨画も学んで帰国した。日本で習得したのは木版画技術だったが、木が貴重品のケープドーセットでは、石版画が発達。イヌイットの神話や歴史、北極圏の動物に材をとった作品が生み出された。平塚の作風に触発された単色刷りの素朴で力強い表現が特徴だ。
展示では日本の技術が入る前の初期の作品、影響を受けた後のものに加え、平塚ら日本人版画家の作品など49点を紹介。アザラシの皮やトナカイの角などを使った北極圏ならではの制作用具も展示されている。15日まで。午前9時~午後5時半(水曜は午後8時まで)。土日休。カナダ大使館高円宮記念ギャラリーで。入場無料。(溝上健良)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110307/art11030707570004-n1.htm
カナダの極北に、日本の伝統的な版画技術が伝わっていた-。東京・赤坂のカナダ大使館で開かれている「旅する版画 イヌイットの版画のはじまりと日本」が興味深い。先住民族、イヌイットの版画を紹介する展覧会だ。版画は、北極圏の島にある小さな町、ケープドーセットの重要な“工芸品”。展示では、その版画制作に影響を与えた日本人版画家らの作品もあわせて紹介されている。
ケープドーセットで版画制作が始まったのは1957年。カナダ政府職員のジェームズ・ヒューストン(1921~2005年)が、イヌイットが狩猟のほかに定期収入を得る手段として版画制作の手法を教えたのがきっかけだった。
ヒューストンは58~59年、版画をより深く理解するために来日。版画家の平塚運一(うんいち)(1895~1997年)に師事したほか、彫る人と刷る人がいる分業制作の現場や水墨画も学んで帰国した。日本で習得したのは木版画技術だったが、木が貴重品のケープドーセットでは、石版画が発達。イヌイットの神話や歴史、北極圏の動物に材をとった作品が生み出された。平塚の作風に触発された単色刷りの素朴で力強い表現が特徴だ。
展示では日本の技術が入る前の初期の作品、影響を受けた後のものに加え、平塚ら日本人版画家の作品など49点を紹介。アザラシの皮やトナカイの角などを使った北極圏ならではの制作用具も展示されている。15日まで。午前9時~午後5時半(水曜は午後8時まで)。土日休。カナダ大使館高円宮記念ギャラリーで。入場無料。(溝上健良)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110307/art11030707570004-n1.htm