(朝日新聞 2010年10月29日)
■北海道 地名の謎と歴史を訪ねて
合田 一道《著》
■アイヌ文化・開拓史への旅
北海道を旅して本州との違いを感じるもののひとつが地名のユニークさだ。昔からあるアイヌ語地名だったり、それが変化して使われたりすることが多いためだが、その他に開拓の歴史とかかわりのある独特の地名もある。
本書は、道内各地の地名の由来とその土地の歴史を探った“地名を旅する本”だ。
アイヌ語で川や河口などを意味する「ナイ」や「ペ(ベ)ッ」のつく地名をたどる旅に始まり、松浦武四郎ゆかりの地名、入植や開拓に伴う和地名など10のテーマに沿って著者は町を訪ね歩く。
稚内、岩内、歌志内、江別、別海……と川に関係するアイヌ語からきた地名は数えきれず、アイヌ語の「チュプ・ペッ=日の・川」から転じた「旭川」など和名に意訳された地名も数多い。それらの地名には微妙な地形の特徴や周囲の自然が表現されており、川と深くかかわってきたアイヌの人々の観察力と表現の巧みさには感嘆する。
一方、開拓者が故郷の名をとった新十津川や北広島、炭鉱労働者が湯浴(ゆあ)みした沢の名が転じた岩見沢など開拓時代を伝える地名も少なくない。また珍名や読むのが難しい地名の数々も面白い。
北海道の地名の奥深さと面白さ、そしてアイヌ文化に開拓の歴史が積み重なった風土・文化の多様さ、豊かさが分かる。道内各地の郷土史も知ることができ、ぜひ、旅の友にしたい1冊である。
(ベスト新書・860円)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000861010290001
■北海道 地名の謎と歴史を訪ねて
合田 一道《著》
■アイヌ文化・開拓史への旅
北海道を旅して本州との違いを感じるもののひとつが地名のユニークさだ。昔からあるアイヌ語地名だったり、それが変化して使われたりすることが多いためだが、その他に開拓の歴史とかかわりのある独特の地名もある。
本書は、道内各地の地名の由来とその土地の歴史を探った“地名を旅する本”だ。
アイヌ語で川や河口などを意味する「ナイ」や「ペ(ベ)ッ」のつく地名をたどる旅に始まり、松浦武四郎ゆかりの地名、入植や開拓に伴う和地名など10のテーマに沿って著者は町を訪ね歩く。
稚内、岩内、歌志内、江別、別海……と川に関係するアイヌ語からきた地名は数えきれず、アイヌ語の「チュプ・ペッ=日の・川」から転じた「旭川」など和名に意訳された地名も数多い。それらの地名には微妙な地形の特徴や周囲の自然が表現されており、川と深くかかわってきたアイヌの人々の観察力と表現の巧みさには感嘆する。
一方、開拓者が故郷の名をとった新十津川や北広島、炭鉱労働者が湯浴(ゆあ)みした沢の名が転じた岩見沢など開拓時代を伝える地名も少なくない。また珍名や読むのが難しい地名の数々も面白い。
北海道の地名の奥深さと面白さ、そしてアイヌ文化に開拓の歴史が積み重なった風土・文化の多様さ、豊かさが分かる。道内各地の郷土史も知ることができ、ぜひ、旅の友にしたい1冊である。
(ベスト新書・860円)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000861010290001