喫茶「ときわ」を出て、東に突き当たると、吉城園(よしきえん)、依水園(いすいえん)という名園が二つ並んでいる。今日は、依水園に入ってみることにした。何度か入っているが、いつも駆け足で、ゆっくり見学したことはなかった。今日は人も少ないようだし、ゆっくり回ることにした。ここは三つの部分で構成されている。一つは「前園」、二つ目に「後園」そして三つ目に「寧楽(ねいらく)美術館」である。前園、後園の庭園は、明治期を代表する庭園で、1975年(昭和50年)に国の名勝指定を受け、総面積4千坪におよぶ奈良市内唯一の池泉回遊式庭園である。「明治期」というから、もっと古いものが沢山ある奈良では、見過ごされるのかもしれない。しかし、外国人向けの観光案内にはしっかり書いてあるのか、今日見かけた大半は西洋人だった。受付で聞くと、今日の入場者の8割は外国人とのことだった。西洋人夫婦らしきカップルの記念写真のシャッターも押してあげた。「前園」は、興福寺に連なっているが、江戸期に奈良晒業者の清須美道清が別邸を設け、黄檗山万福寺の木庵禅師が「三秀邸」と名付けた建物があり、そこからの庭の眺めも良かった。
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