西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

脆弱化しつつある日本国土観察

2011-09-21 | 地域居住学
台風12号で、紀伊半島三県で土砂崩れ被害があったと思えば、今度は台風15号による名古屋市百万人避難などである。大河である庄内川も氾濫した。天白川も溢れた。
都心では栄の地下街にも水が付いた。娘家族が熱田区に住んでいて過去の伊勢湾台風の時、近くの「堀川」が氾濫した「実績」もあるので気が気でなかった。

この分だと台風のコースにより大阪や東京を直撃すれば、更に凄い水害となる恐れもある

今年は、3月の東日本大震災による大津波被害、原発大事故もあった。これらを「通し」で見ると、日本人は、「何かと便利な水辺、河口」に住み、場合によって埋め立てまでして「可住地」を増やしてきた。でも、そこに津波が襲い、洪水が襲い、埋め立てた土地が地震で液状化したのである。

可住地は、即「適住地」ではないのである。治山治水のための植林も「方向を間違えてきた」と言えるのではないか。再考すべきである。堤防もより高く頑丈にすればいいというものでもない。

最近読んだ西田正規著『人類史のなかの定住革命』(講談社学術文庫)の「まえがき」書き出しは、 「不快なものには近寄らない。危険であれば逃げていく。この単純きわまる行動原理こそ、高い移動能力を発達させてきた動物の生きる基本戦略である。」となっている。玩味すべき言葉である。

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4 コメント

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更に言えば・・・ (Vuvantom)
2011-09-22 11:31:02
京大の防災研究所の牧さんが、災害時(後)の日本人の土地への縛られ方についてポッドキャストで語っています。戦前までは災害にあったら移り住む(移住)ことは当たり前だったようですが、戦後この行動様式が変化したようです。
戦後に国策的に推し進めてきた持ち家政策(景気対策)も原発安全神話と同様に作られた神話のように思えます。
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コメント有難う (ichiro)
2011-09-22 14:16:04
牧さんの本持っていますが、きっちり読んでいません。小生の「後輩」だし、一度話してみたいとも思っています。

持ち家政策に多分に「足止め」効果ありますね。それにしても住宅地としての「立地政策」が極めて薄かったことも事実でしょうね。
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やはりご存知でしたか (Vuvantom)
2011-09-22 17:37:17
牧さんのことをもしかしたらご存知でらっしゃるかと思っていました。
ちなみに、放送分を下記からダウンロードできます。
http://www.tbsradio.jp/asaken/2011/09/

西村さんの仰るとおり、立地政策、都市計画などがどうも曖昧だったり杜撰だったりするように思えます。それを紐解いていくと、土地所有の国民への刷り込み⇒業界の利益⇒行政・政治の介入(手を貸す)という図式も想定できてしまいます。
全てがそうではないと思いますが、もう少し国民よりであって欲しいと願いますし、311の震災・人災の影響で、名古屋や高知のように真剣に考える自治体が少なからず出てきたことは、災い転じて・・・に繋がれば良いと思っています。
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放送の件、有難う (ichiro)
2011-09-23 13:53:04
放送の件、情報有難うございます。

時々、引いて日本国土の遠景が見えるようにして、大局的に考察する要ありますね。
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