西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

住まいと俳句(1)ひやひやと壁をふまえて昼寝哉

2005-07-07 | 生活・空間・芸術と俳句・川柳・短歌・詩
時々、「住まいと俳句」というテーマも取り上げたい。前に、庭と住まいについての芭蕉の句をいくつか紹介した。今回は、家の中の情景を取り上げる。表題の句は夏を迎えて相応しい句と思う。これも松尾芭蕉の句で、「笈日記」にあり、元禄7年につくられている。「その後、大津の木節亭にあそぶとて」と言う前書きがついている。(『芭蕉俳句集』岩波文庫、297頁)こういう情景は私も子供の頃、金沢の生家で体験している。土壁の下の方には、ざらざらした砂が落ちないように和紙が貼られていた。そこに足の裏を当てるより、少し上の土壁そのものに足の裏を当てる方が冷たくて気持ちが良かった。芭蕉がふまえた壁の状態はどんなものだったのだろうか。壁を踏まえて昼寝をすると、もし足を少し上げたままだと途中でストンと落ちて目が覚めてしまうかもしれない。だから、恐らく芭蕉の状態は、畳の上で昼寝していて、そのまま足の裏が壁の一番下についている状態だったのではなかろうか。
ところで、近江には、芭蕉の庵もあったが、名句が生まれている地である。
「行(ゆく)春を近江の人とおしみける」

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