西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

「居場所」を探す子供たち 日本子ども学会学術集会

2008-10-10 | 教育論・研究論
9月下旬、奈良女子大学で行われた日本子ども学会学術集会の様子が今日の『産経新聞』17面に載っていた。阪大の鷲田清一学長が講演したようだ。(以下、引用的要約)

鷲田さんは「いじめは子どもの世界だけの問題か」と問い、・・・「高齢者は切り捨てられてはいけないと思い、素直な可愛い存在になろうとしている。以前、キンさん、ギンさんのCMが流れていたときは、『嫌われてはいけないお年寄り』という脅迫的メッセージがみえた」、と話した。

なぜ「可愛い老人」というイメージが必要かと言えば、、現代社会では「排除の論理」があるからだ、と指摘したようだ。それは特定の人を存在しないように扱ったり、祭り上げることで、「その集団の連帯を強化する」というものである。

鷲田さんは「排除の論理に対抗する、集団形成の論理を作れなかった」ことが、「いじめ」を阻止できない理由の一つだ、と述べた。

いじめ報道が、いじめを助長しているとも述べた。いじめをセンセーショナルに報道し、学校をバッシングする司会者、第三者として座るコメンテーター。この学校対テレビという関係の中で、コメンテーターのコメントにうなずく視聴者。この視聴者は、「見てみぬふりをし、実質上、いじめに加担している子どもそのものではないか」というのだ。

学校をバッシングし、教員に全てを任すとすれば、教室は閉ざされた空間になる。複数の個人がいる密室でむきだしのままの空間では、学校に限らず職場でも「排除の論理」が働きやすいという。鷲田さんは教室を密封するのではなく、地域社会がどんどん介入し、「仲裁」することが必要だ、と提言した。

そうだろうな、と思った。どのようにして「集団形成の論理」をつくり子どもを含め、教員、地域住民に浸透させるのか、そのためには最近「閉鎖」しがちな学校を地域に開かせ、地域全体で取り組まねばなるまい。

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