西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

「問題の出し方」井上ひさし著『ふふふ』より

2010-07-04 | 教育論・研究論
『ふふふ』というのは一種の「含み笑い」である。笑いは「は行」である。「ハハハ」「ヒヒヒ」「へへへ」「ホホホ」とこの「ふふふ」である。面白い井上ひさし著の短編エッセイ集である。

その中に「問題の出し方」という外国での大学入試問題の話が先ず面白かった。アメリカとフランスでの話しだ。アメリカで出された問題例:「ここにあなたの一生を書き綴った一冊の伝記があって、その総ページ数は300頁である。さて、その270頁にはどんなことが書いてあるだろうか。その270頁を書きなさい」

もう一つフランスの例:「夜更けにセーヌ川の岸を通りかかった君は、一人の娼婦がいままさに川へ飛び込もうとするところに出会う。さて、君は言葉だけで彼女の投身自殺を止めることができるだろうか。彼女に死を思い止まらせ、ふたたびこの世界で生きて行く元気を与えるよう試みよ」

ちなみにフランスでの問題に対し「「『わたしと結婚してください』と説得するしかありません」と書いてめでたく合格したアンドレ・マルローという生徒がいた。彼はのちに『王道』や『人間の条件』などの小説を書き、やがて文化相にもなった。」(32頁)

大変ユニークな生徒は最後までユニークであった。ふふふ

日本家庭科教育学会53回大会に初参加

2010-07-04 | 教育論・研究論
昨日、今日と京都の「京都テルサ」(近鉄東寺から東に行き南に下る)で行われた日本家庭科教育学会53回大会(総会と研究発表会)に初めて参加した。

ほぼ2年前(2008年8月18日)に同学会の関西支部で私が「住まいを基本舞台として家庭生活を総合的に考える」といった講演をしたのが「縁」で、同名の研究会が関西支部12名の参加で立ち上がり、今日の発表にこぎつけたためだ。

発表は二編に分けて行われた。一編は、理念・構想編で、もう一編は、それを基にした小学校家庭科での実践報告だった。私は、「研究助言協力者」として全体の研究会と主に「理念・構想研究会」に参加してきた。

スタートとなった私の過去ブログより:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/cdd1228565b2fcbdd005210d7206eb7b

まあ、家庭科の衣食住、家族、生活経営等で、総合する軸となりうるのは、住居と共に家族や生活経営(消費生活)であろう。衣服や食物で全体をまとめるのは少し難しい。で、他の出演者が演技できる「基本舞台」は、文字通り「住居舞台」ではないのか。

住居の上で衣生活や食生活、更に家族生活、消費生活全体が行われているのである。家庭科の時間が徐々に少なくなる「圧力」の下、「縦割り」で細々と主張するより、何処か、何かを軸に総合化の力を魅力的にし、跳ね返していく必要があるのではないか。