東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

お雛様と仁和寺展

2018-02-17 00:07:04 | 日々

 今日は日中よい天気で寒さもそれほど感じられない自転車日和でした。自宅から王子、谷中経由で浅草橋の吉徳さんの「おひなさま展」東京国立博物館で開催中の「仁和寺と御室派のみほとけ」展とをはしごして見学してきました。浅草橋の吉徳さんの本社ビルの4階には展示室があり季節ごとのテーマの展示をされていますが、現在「吉徳資料室」に伝わる素晴らしい雛人形や刷り物等が展示されています。中でもこの3代原舟月作の古今雛。玉眼入り江戸古今雛の白眉です。以降明治大正昭和の段飾り雛の基調となった人形と言われています。女雛の瓜実顔に切れ長の目俯き加減の姿。江戸の美人の典型なんでしょうね。

 資料室長の小林すみ江先生と暫しお話させていただいた上失礼して上野の山へ向かいました。吉徳さんの資料室は開店中であれば入場無料です。また明日から静岡県の藤岡市の博物館で吉徳先々代の山田徳兵衛さん(小林すみ絵先生のご尊父)のコレクションの展覧会が開催されるそうです。

 そういえば、上野広小路と末広町の間、中央通りのどら焼きの「うさぎや」さん列になって混んでましたね。行きに手土産の調達に寄ったのですが、店内のガラスケースにも雛や道具が飾られていました。

 博物館に辿り着いたのが午後5時15分頃。今日は金曜なので21時まで開館ということで慌てず急がず見学してきました。空いていたという感じではありませんが、混みすぎというのでもなく、ケースに入った小さな品だと見えずらいところもありますが、大きな軸物や仏様は観えました。仁和寺については京都で拝観したこともなく、NHKの番組で観たという予習しかなく、どちらかというと「嵯峨や御室の花ざかり」という一節(常磐津の「将門」(忍夜恋曲者・しのびよるこいはくせもの)のほうが耳に染みている程度でした。

 常日頃のよくない習慣で、キャプションとか解説は目が悪くてよく読み取れない(オペラグラスを持っていくべきでした)こともあり、もったないと思いつつ、興味を感じるものを優先に流れていったという感じです。(本当にもったいない)しっかりと観るためには一回ではなく、数回観ることが理想です。

 2メートルを超す一木造りの明王のような2体立像。大らかなゆったりたっぷりした量感が印象的。ポスターになっている千手観音の座像。千手が観音様の胴体背後から放射状に延びているのが、観音様の姿を大波が二つに分かれて浮かび出しているような感じで、昔の映画の「十戒」だったか、海がふたつに割れてそこから観音様が現れましますような感じにも見えます。お顔の表情が観る方向によって、また光線によって不思議と異なって見えるというか、微妙な表情です。眉陵のカーブがそれほどきつくなく、両方の眼の彫りの陰影が揃っていないというか向かって右の眼は瞳の彩色が見えるのに左の瞳は陰にかくれているような。正面から見上げて観音様の目線と合うようでいて、観音様の視線はご自分の内側に向かっているようにも見え、それってのはもっと深くて膨大なものへの視線なのかともいろいろ勝手に思いました。すぐそばに展示してあった如意輪観音座像のお顔の傾き加減と体の流れ、向かって左斜め下から眺めると最高というこれも勝手な思い込み。

 そうこうしているうち窓の外は真っ暗。自転車で谷中の寺町を通って帰宅しました。寺町の暗闇、東京とは思えない静けさ。あちらこちらで猫さんたちの声が合唱のように聞こえていました。