生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信1103 ・ウソで固めた「アメリカのイラク戦争」が終結――その総括は?

2011-12-16 06:49:01 | 日記

 おはようございます。イラク戦争は終わり、アメリカ軍は撤兵しますが……。
 生き生き箕面通信1103(111216)をお届けします。

・ウソで固めた「アメリカのイラク戦争」が終結――その総括は?

 オバマ米大統領が一昨日12月14日に「イラク戦争の終結」を宣言しました。アメリカがウソで始めたこの戦争は、動機不純であり、結局、アメリカにカタルシス(精神浄化)はもたらしませんでした。

 日本が支持したこの戦争、日本の新聞は、どう総括したか。今朝の読売新聞社説は「米軍撤退後も課題は山積している」と指摘し、そのうえで強調したのが「原油輸入の9割を中東に依存する日本にとって、イラクの安定は極めて重要だ。政府開発援助(ODA)などによる復興支援とともに、経済やビジネス関係を深めていきたい」でした。ビジネスが先に立つ経済至上主義の低レベルの論説。

 朝日新聞の本日の社説は、見出しを「米国は重い教訓に学べ」とし、中身でも「流された多くの血を思えば、果たしてこの戦争は必要だったのか。改めて問わざるを得ない」と、基本を抑えていました。さらに「正当性のない戦争は、国際社会からも米国世論からも激しい批判を招き、内外に深刻な亀裂を生んだ」と、指摘もしました。そこまでは真っ当といえます。しかし、この戦争で日本がどのような立ち位置を取り、それは世界史のなかではどのように判断されるべきか、については全く考察がありません。

 ブッシュ大統領(当時)が2003年3月にイラク戦争をおっぱじめた時、本音は「9・11の仇(かたき)をとる」でした。2001年の「同時多発テロ」といわれるものが起きたあと、アメリカは「やられたら、やり返せ」といううっぷんをイラクに向けたのでした。ブッシュさんは大々的に宣言しました。「イラクは危険な大量破壊兵器を製造し、蓄えている。イラクはテロの巣窟であり、世界の脅威だ」と。ところが、それは真っ赤なウソ。いくら探しても、大量破壊兵器は見つからない。はじめから無いものを無い。CIAを通じて「大量破壊兵器はない」という情報がありながら、ブッシュさんは「ある」とウソをつきました。何が何でも戦争がしたかったのです。大統領選挙でようやく競り勝ったものの、基盤が極めて弱かったため、何かドでかいことで世論を一気に味方につけたかった。そんあ不純な動機で始めた戦争です。ドイツをはじめ欧州の主要国は反対しました。この時日本の小泉政権は、世界に先駆けて「開戦支持」を打ち出し、ブッシュさんからいたく感謝されました。日本の新聞は、結局、アメリカ追随型の紙面で、批判はほとんどしませんでした。

 残念ながら、アメリカ経済は戦争をしていないと、もたない構造になってしまいました。まともに物を作って経済を成長させることはできないほど、物づくり力が衰えてしまった。しかし、戦争をした結果、アメリカの若い兵隊4500人が死にました。負傷者は3万人。イラクの市民の死者は11万5千人(米ブルッキングス研究所推計)に及びます。そして、その結果、アメリカ経済は逆に財政ピンチに陥り、にっちもさっちもいかなくなったのです。

 「アメリカが来て、結局残ったのは混沌(こんとん)だけ」というイラク市民の声も伝えられています。

 いぶかしいのは、戦争終結に対する日本政府のコメントが全く伝えられないことです。官房長官の記者会見は毎日、行われているのですが、新聞は何も伝えない。肝心な時に肝心なことを発信しない「のダメ首相」です。

生き生き箕面通信1102 ・自転車が安心して走れる街づくりを

2011-12-15 06:38:20 | 日記

 おはようございます。鳩山元首相が、「福島第一原発の国有化を」と主張する論文を、イギリスの科学誌「ネイチャー」に発表したそうです。東電は以前、全面ほとんど黒塗りの資料を”提供”し、「知的財産権」などを理由に事実上、情報開示を拒否したいきさつがあります。事故の徹底的な検証のためにも、「国有化」が必要としています。
 生き生き箕面通信1102(111215)をお届けします。

・自転車が安心して走れる街づくりを

 「自転車は歩道を走ってもいいのか」をめぐって、混乱が起きています。多くの人は、「ゆっくり安全に走るなら、歩道を走ってもよい」と、理解されているのではないでしょうか。実はボクも、歩道を走っていました。

 しかし、警察は「自転車はあくまでも車両だ」という原則を徹底させようとしたのです。自転車による歩行者の”交通事故”があまりにも多くなり、なかには死亡事故さえ起きるようになった。しかもブレーキのない「ピスト」という競技用自転車で歩道を走る人も増えて、一層大きな事故が心配されるようになってきたからです。

 ところが、急に「歩道ダメ、車道を走れ」といって取り締まりを強化すれば、今度は自転車の車との事故多発が心配される。一般の自転車利用者も、取り締まる方の警察も、どうしたらよいのか、「困ってしまって、にゃんにゃん、にゃにゃーん」になってしまいました。

 自転車で東京都心まで通勤している自称「自転車ツーキニスト」の疋田智(さとし)さんは、自分のメルマガ「週刊自転車ツーキニスト」でこの問題をずっと追いかけ、警察にも質問状を提出、最近警察から回答があったそうです。ただ、その内容は「むにゃむにゃ」で、ほとんど中身のないものだったとか。

 それでも、「警察と国交省が『安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会』を設け、来年3月にも提言をまとめることになったことに、期待している」と、書いています。

 疋田さんは、東大文学部卒のあと、TBSに入社、現在はTVプロデューサーで、日々自転車通勤している、こよなき自転車愛好者です。ボクもエコな自転車が好きで、学生時代は自転車で通学していました。いまも、日常的に自転車を使います。その中で感じるのは、「自転車で安全に走れる道がほしい」という切実な願いです。

 ボクの住んでいる箕面市は、レールによる交通機関が少なく、といって自転車道も整備が遅れています。自動車が大手を振ってまかり通る「自動車社会」に、日ごろから憤慨しています。これからは、少しくらい不便でも、自動車を規制して自転車がもっと安心して走ることができる街づくりを進めてほしいと願います。時間がかかるのはやむを得ません。しかし、箕面市は「自転車が安心して走れる街」へハンドルを切りたいものです。

  
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生き生き箕面通信1101 ・かだ「辺野古」にこだわる政府と読売新聞

2011-12-14 06:47:23 | 日記

 おはようございます。ついに息絶えた岩手県陸前高田市の「一本松」さん。被災地の人々を励まし続けた9か月。一本松さん自体は塩水にやられましたが、そのことになかなか気づいてくれない人間たちは許し、しかし「直ちに影響はありません」というウソをつき続けた人間に対しては「許さない」とつぶやきつつ、死んでいきました。
 生き生き箕面通信1101(111214)をお届けします。

・まだ「辺野古」にこだわる政府と読売新聞

 アメリカの上下両院軍事委員会が、在沖縄海兵隊のグアム移転関連予算を全額削除することを決めました。軍事委は、「普天間米軍基地の辺野古への移設案は沖縄県民の強い反対があり、「ムリ」と判断したものです。沖縄県民の意向は、アメリカの軍事委員会が一番冷静に判断しているといえます。

 問題は日本政府です。藤村修官房長官は昨日の記者会見で、「引き続き辺野古への移設を進める。そのための環境アセスを年内に提出する」と言明しました。状況が変わってもそれに対応できず、ただ「前進、前進」と叫び続けていたずらに屍を積み上げた、「坂の上の雲」の「203高地」と同じです。あるいは、太平洋戦争の末期、沖縄を「本土の盾」にした「玉砕戦法」そのものです。

 そして、読売新聞も今朝の社説で「事態打開へ『普天間』の進展を」と、何んとかのひとつ覚えとしかいいようのない主張を繰り返しています。とくにひどいのは、「日米両政府と沖縄県に残された選択肢は今、二つしかない」と断言したことです。その二つに挙げているのは、一つが辺野古基地を実現すること、もう一つが「辺野古移設も、海兵隊移転も断念する道だ」としました。つまり、「辺野古を飲まなければ、普天間は固定化するぞ」という脅しです。

 なぜ、第3の道があることに触れようとしないのか。なぜ、今回の全面削除を機に、「辺野古への移設案」は断念し、リセットする道に触れようとしないのか。ハッキリ言って、ここまでくれば、読売の論説委員は失礼ながら「バカ」としかいいようがないではありませんか。さもなければ、あくまでも「辺野古」を実現しようというあくらつな社説です。

 野田政権自体も丸ごと「〇〇」と呼ばわるほかありません。こんな政権に日本の運命を託していては、国民は不幸になるばかりです。日本の安全保障、防衛問題を考える時、さまざまな知恵と工夫があってしかるべきです。何も「辺野古」にこだわる必要は、さらさらない。技術が進んだいまとなっては、海兵隊を沖縄においておく必然性そのものが疑われる状況です。

 アメリカの世界戦略そのものが、海兵隊の本国引き揚げを考えているではありませんか。無人偵察機、無人攻撃機で間に合うように改革し、マッチョな海兵隊で突撃して人的損傷を出すような作戦は時代遅れとして、根本から変えてきています。

 陸前高田市の「奇跡の一本松」さんは、日本の行く末を案じつつ、命の灯を消えさりました。

 *フクシマ原発事故の汚染水処理装置を納入したフランスの世界最大の原子力複合企業「アレバ」が、原発の将来を見越して人員削減に踏み切る決定をしました。日本でも「もんじゅ」の予算が削られます。それでも、日本の原子力ムラは、枝野経産相をはじめまだ「原発維持・推進」に固執しています。追い詰めましょう。




生き生き箕面通信1100 ・来年こそもっと「絆」を 

2011-12-13 06:41:59 | 日記

 おはようございます。東京で始まった「脱原発を求める住民投票」のための署名運動に対し、石原東京都知事は昨日の記者会見で「日本の経済発展のためにも原発は欠かせない」と持論を展開しました。
 生き生き箕面通信1100(111213)をお届けします。

・来年こそもっと「絆」を

 今年の漢字に「絆」が選ばれました。いまにも壊れそうな日本社会がかろうじて「絆」で踏みとどまっている。そんな印象を持ちますが、それでもこの「絆」という字に多くの人が特別の思いを寄せたことに、温かなものを感じます。

 「絆」は、また「結」(ゆい)であり、「ソリダリテ」(連帯)であります。かつて日本には「結」で結ばれたコミュニティがありました。多くのコミュニティが、実際に機能して、人々は安心感を得ていました。

 ソ連崩壊の遠因のひとつになったポーランドの民主化運動「ソリダリテ」。この「連帯」は、ワレサ議長に率いられ、圧政をはねのけて民主化を勝ち取り、同国人ばかりでなく、世界の人々にも希望と勇気を与えました。

 いま、日本は政治が漂流しており、国中が「無連帯」のアノミー状態に陥っています。ここから、「自分さえ良ければ」の悪しき個人主義がはびこり、無責任な権力主義が大手を振ってばっこしています。社会現象の「いじめ」も、アノミーのあらわれのひとつ。かつて若者が「新左翼」に走ったのも、オーム真理教などの「カルト集団」に走ったのも、アノミーから逃れるため仮初めの「連帯」を求めたとも指摘されています。

 沖縄の人々が強い意志で拒否する「辺野古新基地建設」に対し、野田政権は「それでも造る」と、人々を分断し続けています。「税と社会保障の一体改革」などを言いつつ、やっていることは何が何でも「消費税の引き上げ」です。社会保障はどのように改革し、将来の安心・安全はどうなるか、心強い提案は何があったでしょう。国民の安心・安全の分野でも、政府自らが実態として分断を図っています。

 黒人差別撤廃運動の指導者、キング牧師は 「I have a dream」(私には夢がある)と繰り返しながら、人々の「絆」を盛り上げて成果を勝ち取りました。「夢」には「絆」を強める何かが潜んでいます。

 今年も残すところわずか。来年も、無連帯のアノミー状態は続きそうです。しかし、私たちは「夢」を持ちましょう。気持ちを新たに「絆」を強め、「結」の精神を大切に元気を出そうではありませんか。


生き生き箕面通信1099 ・TPPに大義はあるのでしょうか

2011-12-12 06:44:15 | 日記

 おはようございます。今日は今年の漢字が発表になります。どんな漢字が選ばれるのでしょう。ボクは感じではないけれど、日本の国柄を変えることになるTPPの「T」を選びたいのですが、そんなことにはなりませんよね。
 生き生き箕面通信1099(111212)をお届けします。

・TPPに大義はあるのでしょうか

 興味深い鼎談を見つけました。文藝春秋の最新号(新春特別号)に掲載された「TPP大論争 『日本の希望』か 『米国の陰謀』か」です。鼎談したのは、ノンフィクション作家の保阪正康、外交評論家の岡本行夫、京都大学准教授の中野剛志氏の3人。TPP(環太平洋経済連携協定)について考える場合、きちんと論争ができる識者の”直接対決”がほしいと思っていたところでした。しかも、賛成派の岡本氏、反対派の中野氏の組み合わせは最上の選定と思われます。そこへ歴史的な視点を持つ保阪氏が加わる。総合誌ならではの手厚い企画です。

 肝心の内容はどうか。結論は、どうぞご自分でお読みになってご判断を。ただ、ボクの印象をいうと、中野氏の反対論が岡本氏の賛成論を論破した、と納得しました。

 中野さんは、TPPの交渉に参加すべきでない理由として二つあげました。「政府の言うメリットのほとんどには根拠がなく、想定されるデメリットが非常に多いのがひとつ。二つ目は、そのへんの議論が非常に甘いまま物事が進んでいることです」。さらに、「TPPの大義とは、一体何でしょう?」と根本的な疑問を出しています。

 保阪氏は『日本の国益について政治家も国民も新聞世論も、きちんと整理してないんじゃないか。だから論争が賛成か、反対かという性急さを伴うのだろうと思うんですね」と。

 岡本氏は「日本が仲間外れになってはいけないと思うんです。日本に不利はルールがつくられてからFTAAPのような自由貿易圏に入るとなると、もう手遅れになりますからね」と、ともかくアメリカについていくのが「日本のため」という議論です。この論は、ぼくには「対米従属路線こそ日本のため」というように受け取れます。

 岡本氏は、「グローバリゼーションの危険性についてはその通りですね」と、アメリカが強力に進める政策には一定の警戒を要すると認識しています。さらにTPPについても、「日本抜きで進むとマイナス10になってしまうルール作りを交渉に参加してマイナス3に食い止めても、依然としてマイナス協定だと言われてしまうこと」と、デメリットを認めています。ただし、「メリットは『10年後の貿易活性化』」と、分かったような分からないような理由を挙げています。

 TPPの本質は、中野氏が「非関税障壁の撤廃と称して、アメリカに都合のよい国内制度を押しつける。これがグローバル化の正体ですよ」と喝破しているところに尽きると思います。

 日本の本当の国益を考え、国民生活のことを真剣に考えるなら、野田首相は今からでも交渉からの撤退を表明すべきです。野田首相は自分の考えをほとんど表明しないまま、ずるずるとアメリカの主張を受け入れて、官僚ともどもアメリカ追随路線を現実化していっています。極めて卑怯な、ずるがしこい政治手法をとっています。日本の10年先は、アメリカ型の社会に変えられてしまい、裕福な者はさらに裕福に、貧乏なものはさらに貧乏になっていきます。そして「われわれは99%だ」と、プラカードを掲げなければならなくなります。
 
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