おはようございます。イラク戦争は終わり、アメリカ軍は撤兵しますが……。
生き生き箕面通信1103(111216)をお届けします。
・ウソで固めた「アメリカのイラク戦争」が終結――その総括は?
オバマ米大統領が一昨日12月14日に「イラク戦争の終結」を宣言しました。アメリカがウソで始めたこの戦争は、動機不純であり、結局、アメリカにカタルシス(精神浄化)はもたらしませんでした。
日本が支持したこの戦争、日本の新聞は、どう総括したか。今朝の読売新聞社説は「米軍撤退後も課題は山積している」と指摘し、そのうえで強調したのが「原油輸入の9割を中東に依存する日本にとって、イラクの安定は極めて重要だ。政府開発援助(ODA)などによる復興支援とともに、経済やビジネス関係を深めていきたい」でした。ビジネスが先に立つ経済至上主義の低レベルの論説。
朝日新聞の本日の社説は、見出しを「米国は重い教訓に学べ」とし、中身でも「流された多くの血を思えば、果たしてこの戦争は必要だったのか。改めて問わざるを得ない」と、基本を抑えていました。さらに「正当性のない戦争は、国際社会からも米国世論からも激しい批判を招き、内外に深刻な亀裂を生んだ」と、指摘もしました。そこまでは真っ当といえます。しかし、この戦争で日本がどのような立ち位置を取り、それは世界史のなかではどのように判断されるべきか、については全く考察がありません。
ブッシュ大統領(当時)が2003年3月にイラク戦争をおっぱじめた時、本音は「9・11の仇(かたき)をとる」でした。2001年の「同時多発テロ」といわれるものが起きたあと、アメリカは「やられたら、やり返せ」といううっぷんをイラクに向けたのでした。ブッシュさんは大々的に宣言しました。「イラクは危険な大量破壊兵器を製造し、蓄えている。イラクはテロの巣窟であり、世界の脅威だ」と。ところが、それは真っ赤なウソ。いくら探しても、大量破壊兵器は見つからない。はじめから無いものを無い。CIAを通じて「大量破壊兵器はない」という情報がありながら、ブッシュさんは「ある」とウソをつきました。何が何でも戦争がしたかったのです。大統領選挙でようやく競り勝ったものの、基盤が極めて弱かったため、何かドでかいことで世論を一気に味方につけたかった。そんあ不純な動機で始めた戦争です。ドイツをはじめ欧州の主要国は反対しました。この時日本の小泉政権は、世界に先駆けて「開戦支持」を打ち出し、ブッシュさんからいたく感謝されました。日本の新聞は、結局、アメリカ追随型の紙面で、批判はほとんどしませんでした。
残念ながら、アメリカ経済は戦争をしていないと、もたない構造になってしまいました。まともに物を作って経済を成長させることはできないほど、物づくり力が衰えてしまった。しかし、戦争をした結果、アメリカの若い兵隊4500人が死にました。負傷者は3万人。イラクの市民の死者は11万5千人(米ブルッキングス研究所推計)に及びます。そして、その結果、アメリカ経済は逆に財政ピンチに陥り、にっちもさっちもいかなくなったのです。
「アメリカが来て、結局残ったのは混沌(こんとん)だけ」というイラク市民の声も伝えられています。
いぶかしいのは、戦争終結に対する日本政府のコメントが全く伝えられないことです。官房長官の記者会見は毎日、行われているのですが、新聞は何も伝えない。肝心な時に肝心なことを発信しない「のダメ首相」です。
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