生き生き箕面通信

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1435 ・原発事故にも刑事責任を!――福島原発告訴団からの訴え

2012-11-25 07:33:15 | 日記

おはようございます。                                                                             生き生き箕面通信1435(121125)をお届けします。

・原発事故にも刑事責任を!――福島原発告訴団からの訴え

 「何んとも言いようのない不条理を感じています。被災者が被ばくしながら除染作業をしなければならない不条理。家が、学校が、職場がそこにあるのに戻れないという不条理……。原発再稼働を表明するとき、野田首相は『国民の生活を守る』と言いました。少なくとも、その『国民』の中に、福島県民は含まれていないのだと思いました」

 これは、福島原発事故告訴団・団長の武藤類子(るいこ)さんが語った「なぜ告訴・告発をしなければならなかったのか」という思いをまとめた文章からの引用です。昨日11月24日、京都大学の11月祭(学園祭)に招かれた武藤さんが「原発事故にも刑事責任を!」と題する講演会で資料として配布されました。

 武藤さんが伝えたかったなかには、こういう事実があります。「ある60代の男性は、浪江ではスーパーを経営していたといいます。その男性は避難生活を強いられながら、生きていく糧を稼ぐために除染作業に出ていたそうです。その作業をしながら、いつも、『こんなことをして何になるのだろう』と言っていた。今年5月27日に、その人は警戒区域内にあった自宅に一時帰宅したのですが、帰ってきませんでした。自殺したその人の遺体が見つかったのは、翌日のことでした。今回、告訴だけでなく、刑事告発を同時に行ったのは、このようにして、もはや憤りも悲しみも口に出して訴えることのできなくなった人たちの被害についても、その責任を問わなければいけないと考えたからです」

 武藤さんたち福島県民1324人は、今年6月11日に原発事故の責任を問う第一次告訴・告発を行いました。そして、つい先日11月15日には、全国47都道府県の賛同者1万3262人が第二次告訴・告発をしました。告訴・告発されたのは、勝俣恒久・東京電力会長、斑目春樹・原子力安全委員会委員長、山下俊一・福島県立医科大副学長ら33人です。

 武藤さんたちが本当に問おうているのは、「誰も責任を取ろうとしない社会」そのものではないかと思われます。しかし、訴訟の対象を「社会」にしてしまうと焦点がぼやけるので、具体的には東電などに絞らざるを得ませんでした。東電に対しては、こう問うています。「東京電力が事故の報告書を出しましたが、責任を他に転嫁する姿勢に貫かれています。あらためて言いたいと思いますが、東京電力には事故を起こした責任があります。東京電力は自身も津波も『想定外』だったとしていますが、地震学者の石橋克彦さんをはじめ多くの専門家が危険性を指摘してきたのです。原子力安全委員会でも審議されていましたし、東電内でも問題にされていたことが、事故後に報道で明らかになっています。決して『想定外』ではなく、津波対策をしなければならないという話がありながら、実行してこなかったことは明らかです」

 「きちんとした安全管理を行わない東電の体質が事故を引き起こし、拡大させたのです。それは事故後の対応を見ても明らかですが、問題はそのことを当の本人が自覚していないことです。原発を『国策』として推進してきた政府の責任が重いことは言うまでもありません」

 「政府と電力会社の数多くの無責任が積み重なって、大事故は引き起こされました。にもかかわらず、本人たちは何の責任も取らずに同じ場所に居続け、さらには大飯原発の再稼働を決める立場にまで立っています。こんなことが許されていいのでしょうか」

 武藤さんはこうも強調しています。「私たち全員が異論なく告訴が必要だと一致したのは、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーに就任した山下俊一氏です。事故直後から放射線の危険性を軽視する発言を繰り返すことで、子どもたちをはじめとして被ばくを拡大させてきた責任は大変に重いものがあります」

 「被害を見つめ直すことは、力を回復していく重要なプロセスになると感じています。私たちは何も言えない民衆ではありません。責任者の責任を問い、被害の回復を求めていくために、発言し、行動していくことができます。そういう力が一人ひとりにあるのです」

 「本質的に生命と対立的な存在である核を利用していこうとする限り、人類は放射能で汚れた大地に住んでいく覚悟を迫られます。未来を担う子供たちに、このような負担を、もうこれ以上は負わせたくはないのです」

 そして、こう結んでいます。「今回の告訴は、若い人たち、これからの生命への、せめてもの罪滅ぼしだと思っています」