おはようございます。「脱原発だけなら俺にでも言える」(本日の「よみうり時事川柳」より)
生き生き箕面通信960(110725)をお届けします。
・朝日主筆の菅首相への縁切り状に潜む深い闇
「菅首相よ、ゲリラに戻れ」と題する、菅首相への縁切り状を本日の朝日新聞が掲載(3面)しました。同紙の論調を主導する若宮啓文主筆がみずから執筆したコラムで、副題は「さらば暗い政治」としています。
コラムの結びは、「菅さん、この国会できっぱりと官邸に見切りをつけるがいい。バトンは怨念にとらわれない世代に渡し、自らはゲリラ議員に戻って脱原発で動き回る。それがいま、一番ふさわしい道ではなかろうか」と、引導をわたしています。
一見、今の多数意見を代表した”正論”のように見受けられます。しかし、実は「深い闇」が感じられるのです。
つい先日、日本首相の「脱原発」発言に対し、アメリカ側から「懸念」が伝わってきました。うっかりすると見落とされるぐらいの小さな扱いでした。しかし、これは大きな意味を持つものだったのです。
世界の原子力パワーは、現在も軍事力の大きな基礎となっています。アメリカはこの原子力パワーによって、世界をコントロールする背景力としています。そのなかで日本の位置付けは、原子力技術のレベルアップです。日本に、日本のカネで技術開発をさせ、その成果はアメリカが使うという戦略です。
事実、日本にだけ「機微核技術」を容認してきました。機微核技術とは、ウラン濃縮、プルトニウムなど核燃料の再処理、そしてプルトニウムなどを再利用する高速増殖炉開発(もんじゅなど)の三つの技術です。これらは、ただちに原子力爆弾、つまり核兵器開発につながる技術だから「機微核技術」、英語では「sensitive nuclear power」と呼ばれるものです。この開発には膨大なカネがかかるので、アメリカでもやりにくい部分がある。そこを日本に受け持たせる。日本はアメリカの保護国としてアメリカが絶対の力を行使できる安心できる国であり、技術力は非常に優れたものがあるので、これを利用する。
ところが、「脱原発」となると、その戦略に狂いが生じます。だから至急ストップをかけなければならない。菅首相が「脱原発」のレールを敷く前に早急にやめさせなければならない。
「脱原発」に踏み切った朝日新聞にも、論調を変えてもらわなければならない。
おそらく、アメリカのしかるべき筋が朝日の若宮主筆と接触したのでしょう。アメリカからの”圧力”に若宮主筆も抵抗することはできなかった。結局、アメリカの要求を容れて、「菅首相に引導」を渡すことにせざるを得なかった。こんなところでしょう。
菅首相さえ辞めさせれば、当面の「脱原発」にはブレーキをかけられる。それからあとは、さまざまな意見を出して、いわば「ぐちゃぐちゃ」にし、気がついたらいつの間にか「原発は生き延びた。脱原発は消されていた」というシナリオです。
これからの朝日の論調を見ていけば分かることですが、先日、超大社説で「脱原発」に踏み切ったはずの朝日がふたたび腰砕けの姿をさらすはずです。たぶん、「当面は原発も稼働させるベストミックスがいい」というような論調です。
私たちには見えにくい闇の中で、日本の主体性は損なわれ、アメリカのポチ化が静かに、しかしとうとうと進んでいます。