おはようございます。
生き生き箕面通信959(110724)をお届けします。
・電力業界の言い分を増幅する大手紙の社説
「再生エネルギー法案」について、本日の読売新聞は極めて偏った社説を掲げました。見出しは「丁寧な審議で影響を見極めよ」と一見中立的な文言を使っています。しかし、中身は、電力業界、経産省の言い分をそっくり代弁するものです。
社説の組み立ては、まず自然エネルギーは「普及させることに異論はない」と一応認めたうえで、しかし「電力料金が大幅に上がるなど問題が多い」と、極めて消極的な内容にしています。
まず、普及策としての電気の買い取り制度義務づけは「電気料金の値上がりを招く」とし、「政府は10年後の電力料金の上昇は、標準家庭で月150~200円と試算する。買い取り量が予想外に増えた場合、負担額はさらに多くなる。産業界への影響も大きく、鉄鋼業界だけで、電力コストが年1260億円増えるとの試算もある」と、マイナス面ばかりを強調しています。
さらに、原発の再稼働問題に論点を移し、原発が稼働できずに火力で代替させると「燃料費は年3兆円以上かかる」と、「原発は動かさないとたいへんですよ」という言い分を忍ばせています。
読売の社説が偏った内容だと言わざるを得ないのは、原発には政府が国民の税金をたっぷりつぎ込んで助成したきたいきさつにはまったく触れないで、他の電源の場合だけ問題をあげつらう姿勢です。ジャーナリズムが議論をする場合、可能な限り同じ立場、同じ条件の上で展開すべきです。それを、経産省や電力業界の一方的な言い分を恥ずかしげもなくそのまま持ち出して平然としている。ここに、日本のジャーナリズムの幼稚さがあらわです。
何度も繰り返しますが、私たちはメディアが流す論調を、自分の頭で考え、判断する「メディア・リテラシー」を日常的に鍛える必要があります。何が真実で、自分たちはどう進むべきか、自分で主体的に判断することが欠かせないと思っています。