生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信369 ・絶滅危惧種のジャーナリズム

2009-12-05 07:34:05 | 日記
おはようございます。毎朝4時ごろには新聞の朝刊が届いています。日本では。これは当たり前のことではありません。
生き生き箕面通信369(091205)をお届けします。

・絶滅危惧種のジャーナリズム
 「瀬戸際の米新聞 NPO化・公的支援も」―今朝の朝日がほぼ1ページを割いて組んだオピニオンのページの見出しです。新聞社に「公的資金も」という衝撃的な提言がされました。つまり、新聞社は政府からの支援を受けなければやっていけない「瀬戸際だよ」と、言っているのです。政府から援助を受ければ、政府批判ができなくなるのですが、そこまで追い詰められているというのです。

 レナード・ダウニーさんという米ワシントン・ポスト紙の副社長が「努力に努力を重ねてきたが、広告が減り、部数も減って、新聞にもう未来はない」と、言い切りました。ロンドン特派員を経て、編集局長、編集主幹を歴任し、いまも同紙の編集部門のトップにある人がこれほどの危機感を持っているのです。

 レナードさんは、「アメリカンジャーナリズムの再建」と題する論文をまとめ、再建のための6つの提言をしました。そのなかには、篤志家などからの寄付を促す仕組みの整備や、ネット産業から徴収する「報道基金」の創設、報道機関のNPO化などが含まれています。

 レナードさんはいいます。「政府のウソを暴き、政策の誤りを正すジャーナリズムにはカネがかかる。取材の進め方、報じ方、報じる勇気を次の世代に引き継ぐのは、もう既存の新聞社、放送局だけでは無理です」と。

 さらに「地域でコツコツとがんばっている記者がいるが、生活が成り立たない。しかし、そういう記者を支えないと米国のジャーナリズムは死んでしまう」とも。

 過去3年間に経営破たんして再建中の新聞社一覧も掲載されていますが、そのなかにはロサンゼルス・タイムズ、シカゴトリビューン、ボルチモア・サンなどそうそうたる紙の名が挙がっていました。あのニューヨーク・タイムズですらも、いまはメキシコ人実業家からの巨額融資でやっとしのいでいるのが、実態です。

 また、茂木崇(たかし)さんという東京工芸大専任講師の話も載せていました。そこでは「小部数・高レベルのクオリティーペーパーをめざすのも一つの考え方」とありました。しかし、過去どれだけの挑戦がされたことか。クオリティーペーパーは、成功すればカッコいいですから、読売も朝日も、試みようとしました。もちろん、経営破たんした毎日新聞は10年も前から生き延びる策として試行錯誤してきましたが、クオリティーペーパーは経営的にやっていけないという結論が、いまの姿なのです。

 日本の新聞は、再販制度によって宅配制度も維持され、なんとか息をついてきました。しかし、先行きが心細いのは、アメリカと同じです。何年か遅れでアメリカのあとをたどってきました。アメリカのいまの状態は、明日の日本の新聞の状態です。

 日本を誇りを持てる国であり続けさせるためには、日本のジャーナリズムを活性させ続けることが一つの重要な条件だと思うのですが。