森 絵都さんの作品は人気があります。書き始めたのが児童書からだったからでしょうか。幅広い年齢層に読まれていますね。当店のスタッフの海津君が『カラフル』(文春文庫)をイチオシしています。
今回はデビュー作品の『リズム』(角川文庫、本体価格400円)を紹介します。
中学一年生の主人公・さゆきはなんとなく生きている。近所に住むいとこの真ちゃんが大好きで、いとこの家によく通っていました。真ちゃんは、中学卒業後はバイトをしながらロックバンド活動に打ち込みます。さゆきのお姉ちゃんは受験勉強に勤しみ、真ちゃんのお兄ちゃんは東京の大学で研究に集中し、真ちゃんとさゆきだけが勉学の道から離れて、少し悩んでいたところで、真ちゃんの両親が離婚だと聞きます。そして、音楽活動のために、真ちゃんに新宿へ引っ越すことに。別れる前に、真ちゃんはドラムのスティックをさゆきに渡します。
「これからさゆきがさ、まわりの雑音が気になって・・・・・・・親とか、教師とか、友達とかの声が気になって、自分の思うように動いたり笑ったりできなくなったら、そのときはこのスティックでリズムをとってみな。さゆきにはさゆきだけのリズムがあるんだから」
子どもたちは周りの環境に振り回されてばかりです。自分だけのリズムを大切に生きることを体得できれば、思春期だけでなく、長い人生でも大きなバックアップになるでしょう。爽やかなストーリに大きな生きる糧を学び、読後感はスッキリしました。
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