今まで何度となく読みましたが、いつも新しいことに気付かせてくれる本です。
アフリカのマラリアに罹りにくい人を遺伝子レベルで研究したら、その兄弟には4分の1の確率で、重い障がいを持つ人も現れてしまう。4人の子どもが生まれた場合、必ずそのうち1人は重度の障がいを持つという事実。つまり、人間が生存して行くにはマラリアに「強者の遺伝子」だけでなく、重い障がいを引き受ける 「弱者の遺伝子」も必要だったということ。このことから、障がいを持つ人の存在がなければ、今の自分もないという理解が生まれます。
しかし、科学的な1/4の奇跡だけでなく、宇宙をつらぬく「本当のこと」こそを3/4の人間は知らなければなりません。それは、
・南米・インカの人たちは、病気や障がいのある人が、とても大切な存在だということを知っていた。
・昔の人は、まわりにある「もの」も「こと」も「ひと」も、すべてその人に必要だから、そこに「ある」ということを知っていました。
などです。科学的に立証しなければ納得できないのではなく、本当のことを知っていれば、そこに区別や差別は存在せず、そこにあること自体が大きな意味を持つ。このことを納得できるか否かが、人の成長にとってはトリガーになると思います。そして、宇宙をつらぬく「本当のこと」は健常者ではなく、障がい者が原初的に持っているものであり、我々は彼らから謙虚に学ぶべきなのですね。そういう意味では山元加津子先生は通訳者なんでしょうね。
『1/4(よんぶんのいち)の奇跡 「強者」を救う「弱者」の話』(山元加津子・柳澤桂子・四方哲也・新原豊共著 マキノ出版、本体価格952円)