アバウトなつぶやき

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石垣りん詩集(読み聞かせ6)

2009年10月01日 | よみもの
 今回の読み聞かせも6年生。さて、カタいのいきますよ~。

 もうすぐ6年生は修学旅行です。
 県外に出るということで、視点が広がることと思います。
 外から見た自分の住む地域を知ることもあるでしょう。
 そこで、わが市「四日市市」のイメージとしてはマイナスの「公害」について、あえて取り上げることにしました。
 本を読む前と読んだ後に、ワタクシの思いも伝えさせてもらいました。


▲現代詩文庫46 石垣りん詩集/思潮社刊

 石垣りんは東京生まれの女流詩人です。
 職業を持ちながら文学活動をした人で、日常生活を描いた詩が有名です。
 一見、公害の話とは無関係な作家さんですが、公害が問題になっていた当時、ドキュメンタリー番組で四日市を訪れて詩を何篇か作っています。
 詩集に納められている中から「錆びる」「匂い」「ありさま」「お母さんの昔語り」「向こう岸の意見」「あやまち」を読みました。
 これらの詩は当時の四日市の惨状を簡単な言葉ながらするどく表現していて、怒りや憤りがずっしりと伝わってきます。
 これらの詩は、今の子供達が知らない四日市を伝えていると感じます。


 誰しも自分の住んでいるところが悪く言われるのはイヤですね。
 幸い、わが家は市内でも当時から「公害の影響を受けない地域」とされている場所であり、豊かな自然に囲まれています。
 しかし、その一方で同じ市内に住んでいながら公害に苦しんだ人がいるのも、やはり事実。
 四日市市は教科書でも習ったように、コンビナートの煙害によりぜんそくを引き起こしました。昭和30年代のことです。

 その後、訴訟を経て公害対策や健康保障などを充実させることで、コンビナート付近の地区も国内の各都市と同程度の環境を保っています。工場に対する基準は他の工業地帯よりも厳しい位だそうです。
 もちろん、被害にあった人はこの程度では満足できないほどの傷を負っているでしょう。
 ですが、反省から対策へという努力は大きな財産です。
 子供達にはそういう姿勢を誇ると同時に、さらに良い環境や尊敬を獲得するにはどうしたら良いかを考えて欲しい。
 「生まれる前の話だし、ましてや住んでる地域じゃないから自分には関係ない」などと思わず、それを踏まえて市民として自分の住んだ地域を誇れるように、愛せるようになって欲しいのです。

 そういう思いを込めて、今回はちょっと重い、この題材を選んでみました。
 真実を知らず語る未来は片手落ちですからね。


※「読み聞かせ」検索でたどり着いた方へ
 私が読み聞かせに使った本とその時間をメモしています。
 カテゴリの「よみもの」をクリックすると今までの投稿も出てきます。
 あまり熱心な活動はしていませんし投稿数も少ないのですが、私も時々検索しているので同じ境遇の方がいるかも…と思いました。どなたかの参考になれば幸いです。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
仕組み (はいぱーるー)
2009-10-01 12:43:35
公害の元凶となった企業のひとつに勤務する身としては、過去の過ちを糧にして、今は人一倍環境に配慮した生産を行っているということを知って欲しいといつも思っています。
過去に公害で健康を害された方は納得できないと思いますが、あの時代、高度成長期の日本の主な考えでは、環境に対する配慮よりも、経済成長のほうが重きをえていたというのも事実です。
四日市に限らず、過去の公害で得られた教訓から、今では日本は世界でもトップクラスのクリーンな工場が多い国です。その技術力の凄さも誇れるものです。
四日市の工場に対する環境規制は、国内でも一番厳しいところであり、ペナルティとして支払うお金もダントツです。
とはいえ、煙突からでる煙には、少量とはいえ煤塵も含まれますし、温暖化に寄与するCO2の排出も大量です。
日常使っている道具や電気などのエネルギー、すべて、それらを作るためには工場が動くわけで、すくなからず環境への影響を吐き出しています。なので、やはりひとりひとりの無駄遣いをやめるなどの意識付けが必要ですよね。

要は、誰か一方だけで環境は守れないということですよね。
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お久し振りです^^ (diana)
2009-10-01 17:01:19
いつも読み逃げで、ごめんなさい^^

やっぱり6年生ともなると、本と言っても高度ですよね。
私はまだ低学年しか担当したことが無いので、とっても参考になります♪

夏のドラマで『官僚たちの夏』でも、公害問題が取り沙汰されてましたが、
その時代には経済成長の過程として、どうしても通らなくてはいけない道だったのかもしれないなぁ・・・と感じながら観てました。
でも、そこから一歩、また一歩と改善されながら、今は環境問題に重点を置いたエコ的生活に、
だんだんと一般市民も目を向けてきてることだし、
もっともっと、企業側も意識が変わってきてることでしょうね。

子供たちの反応って、どうでしたか?
この本、とっても興味あります。今度、図書館で探してみようっと♪
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★はいぱ氏 (i-boshi)
2009-10-01 23:43:10
貴重なご意見、ありがとう。
そっか、環境基準が厳しいとは聞いてたけど、国内一クラスとは知りませんでした。
来週は長男のクラスで同じのをするつもりだったから、その時の補足で使わせてもらうよ!
そして、企業側の配慮についても触れさせてもらうね。

今、うちの長男が6年生でしょ。
長男は5年生の時の授業で「日本の4大公害」として四日市ぜんそくに触れただけで、詳しくは学んでないんだって。
これが不思議でね。
ゴミ問題にしても近くにある処理場には足を運んで無いし、どこよりも環境に敏感であるはずの四日市市の教育にしては物足らないな、と。
学校の方針もあるのでしょうが、もしかしたらこの市で環境について言及することは腫れ物に触るようなもの?と、疑問すら覚える事があります。

これやるにあたってね、市の環境学習センターってとこを少し見て来ました。
コンビナートでどんなものが生産されてるか、なんてことも書いてあったので、それ写してきて、現代の生活には欠かせないものを生産してる、という説明も入れました。工場が悪いんじゃなくて、その生産を求めているのはこの生活水準を維持するよう求める全ての人であり、それによっての工場ありきという事実を忘れてはいけないと思ったから。
(この辺、同じこと考えてるよね?)


で、予定では最後にこの前のドボク・サミットの本に載ってる工場の写真見せて「人の営みっていうのは見る角度を変えれば美しいよね~」ってのも言いたかったんだけど、それに関しては時間が足らずに言えなかった。残念だ(ーー;)
来週はそこまでもっていけるかなぁ。
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同じw (はいぱーるー)
2009-10-02 00:05:18
考え方同じっすw
この間、書店で工場萌えを観てみたよ。
こんなの、毎日生で見てるよ!って感じ。
作る側も、使う側も、無駄ない効率的なものを求めるわけで、そうすると環境にも優しくて、美しい工場だってできちゃうのよ、きっと。

四日市が人一倍環境に関した教育をするべきだと思うよね。それが今に繋がってるわけだし。
生きた教科書が目の前にあるのにねw
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★dianaさん (i-boshi)
2009-10-02 00:13:01
いえ、見ていただけるだけでも励みになります。ありがとうございます。

朝の読み聞かせなので、ワクワクするような楽しいものが良いのかも知れないと思いつつ、こんなのを選んでしまいました^^;

↑のコメント欄にも書いてありますが、うちの学校は環境についての学びは浅いと感じています。
自然に囲まれていて切迫したものがないからかもしれませんが、やはりこの市に住んでいるからには環境に敏感であって欲しい、というのがワタクシの個人的な考えです。
だから、図書ボランティアという立場を使ってどこかの場面でこのことに触れたいと思ってたんです。
聞いていた子供達の様子ですが、ワタクシの主観を言いますと
「自分達の住んでるところは公害が及ばなかった良い地域」という自信と優越感、
そして、県外の人(石垣りん)から見た視点を通して
「四日市ってよそから見たら汚かったのか。そう思われてるのか。」
という戸惑いがあったと思います。
子供ですから、とりあえずはそこまでですね。

もしかすると「修学旅行先で四日市から来たって答えるのいやだなぁ」と思った子もいるかもしれません。
実はワタクシ自身、似たようなことを考えた経験があるからです。
でも、それを乗り越えると自分の生活に対する愛しさや現代人のひずみというものが見えてくると思うんです。だからワタクシも今は堂々と自分の住んでる四日市のことを語る事ができます。
これから思春期をむかえる子供達にはいっぱい悩んで乗り越えてもらいましょう。

はっ、夜なので熱く語ってしまいました。

来週、楽しみにしてますね!
わくわくです♪
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★はいぱ氏 (i-boshi)
2009-10-02 00:21:39
工場って言えば、ワタクシなどはよく分からんわけですやん?
で、「あの大量のパイプってあんなに要るの?半分なくても事足りるんじゃない?」とか思ってます。
だって複雑すぎるもん!

機械設計の人って尊敬するわ…。
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