その65「代官山コールドケース」はこちら。
近ごろのテレビは、よく言えば咀嚼力があり、悪く言えばネタ切れなのかな。んもうどんな原作でもドラマ化している。まさかチャンドラーの「ロング・グッドバイ」を渡辺あや脚本で!マーロウが浅野忠信で!(1回目を見逃してしまったのでわたしは少し死んでいます)そしてなんとなんと「MOZU」として逢坂剛の「百舌の叫ぶ夜」がっ!!!
確かに倉木シリーズ(このくくりもトリック)はどんどん派手になっていくんだけど、あの原作だけは映像化不可能だと思っていたのに。例のメイントリックはどう処理しているのだろう。倉木が西島秀俊で美希が真木よう子かあ、考えたな確かに。大杉が香川照之ねえ……ちょっと待って。「龍馬伝」と「八重の桜」の合体ですか。あの人はあの役だし(笑)
主要な登場人物の変貌や、叙述トリックをクリアできるというなら、これからは何でもありだ。その点、最初から犯人が明かされている倒序ものは、コロンボや古畑任三郎に代表されるようにドラマ向き。
しかしまさか福家警部補(名前は最後まで明かされない)を壇れいとは。三十代なのにあまりに幼いルックスなので誰も警察官だと思ってくれないタフな女性……あ、なんかぴったりなような気もしてきた。一見して美貌ありありなので、そのあたりはどう演出したのかな。ださいメガネでもかけさせたのだろうか。
わたしが好きなのはオッカムの剃刀のエピソード。真犯人だけがある行動を“とらなかった”あたりは、ドラマ的に最高ではなかったか。「月の雫」は、コロンボの「別れのワイン」そのまんまなので笑えます。
このシリーズは最初は味もそっけもなかったのに、次第に味付けが濃くなっていった。要するに作家がうまくなっていく過程がはっきりとわかるの。
驚いたのは、二見書房から出ていた刑事コロンボのノベライズが、実は日本オリジナルで、ゴーストライターとしてこの大倉はもちろん、石上三登志、小泉喜美子、瀬戸川猛史、小鷹信光、岡本喜八などが書いていたこと(解説で明かされています)。こりゃー読んでみようかしら。
その67「機龍警察・未亡旅団」につづく。
福家警部補の挨拶 (創元推理文庫) 価格:¥ 864(税込) 発売日:2008-12 |