事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的大河ドラマ史PART20 黄金の日日

2018-06-22 | 大河ドラマ

「花神その3」はこちら

78年の大河は「黄金の日日」。三谷幸喜がいちばん好きな大河ドラマで、「真田丸」に二代目松本白鸚を同じ役である呂宋(ルソン)助左衛門として特別出演させたくらい。

これまでの大河と歴然と違っているのは、キャスティングだ。主役の三人が市川染五郎(当時)、根津甚八、川谷拓三である。けっこう豪華じゃん、と今なら思えるが、当時の根津はまだ“状況劇場の”というくくりだったし(TBSで向田邦子の傑作「冬の運動会」に志村喬の孫の役で出演はしていたが)、川谷拓三にいたってはやくざ映画ファンにはおなじみだったものの(あ、「前略おふくろ様」があった)、主戦場は東映だ。

テレビ向きではないキャスティングはなお続く。高山右近役に鹿賀丈史を抜擢し、唐十郎と李礼仙の夫婦(当時)を大河ってどういうことだよ。しかも竹下景子、名取裕子、夏目雅子はまだ女優として未知数だったのだ。

主役の設定も、これまでのお偉いさんたちのドラマではなく、商人、盗っ人、スナイパーである。

脚本の市川森一はウルトラシリーズや「傷だらけの天使」「グッバイ・ママ」で注目はされていたけれどもまだ中堅とも言えず……

つまり、NHKは大バクチを打ったのである。

そしてこのバクチにNHKは大勝した。若手の俳優たちは次々にブレイクし、特に石川五右衛門役の根津甚八の人気は沸騰した。

もちろんその背景には名優たちの存在があったろう。織田信長に高橋幸治、豊臣秀吉に緒形拳という「太閤記」コンビをふたたび起用し、鶴田浩二、宇野重吉、丹波哲郎(鶴田と宇野がまったく合わないものだから、丹波さんが必死でとりなしたことは特集しましたね)、そして細川ガラシャに島田陽子。このころの彼女はきれいだったなあ。

残念なことに、この大河が大ヒットしたことによって、NHKへの怨念を倉本聰がたたきつけた裏番組の「浮浪雲」(テレビ朝日)は大コケしてしまったのでした。

PART21「草燃える」につづく

コメント (2)
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