事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「鬼の橋」 伊藤遊著 太田大八画

2018-06-12 | 本と雑誌

 

愛読しているブログで絶賛されていたものだから、これはわたしも読んでみなければとチェック。「ぐりとぐら」やミッフィーで有名な福音館書店の本だから、うちの図書館に入れるのに都合もいいという計算もありました。

ということで司書に例によってリクエスト。でもあっさりと

「ありますよこの本。きっとどこの学校図書館にもあると思います

ええええっ。そんなに高名な作品だったのか。

「はいどうぞ」

表紙についている丸いシールですべて理解できた。そこにはこう書いてあったのだ。

「第45回青少年読書感想文全国コンクール 課題図書」

そうか課題図書なのか。わたし、福音館書店の本を読むのも久しぶりなら、課題図書を読むのも久しぶりだ(笑)。

お話は、実在する平安初期の官僚、小野篁(おののたかむら)の少年時代を描いたもの。しかしこれ本当に子ども向けの本なんだろうかと戸惑う。妹の事故死に責任があるのではないかと思い悩みながら、日々を鬱々と過ごす少年。このニヒりっぷりがまず子ども向けじゃない。

そこに生きることに必死で、かつ前向きな少女と、冥界から逃避してきた鬼がからむ。鬼とは人を喰らう存在である、という設定が憎い。

「鬼の橋」とはなかなか考えたタイトルで、冥界と現世、人と鬼の境目を象徴しているのだろう。鬼が必死で橋を守ろうとするあたりの激情には感動させられる。坂上田村麻呂をおちょくっているあたりもいい。

鬼は人となり、少年は大人になって旅立つ。きわめてまっとうな成長の物語。課題図書おそるべし。福音館おそるべし。わたしの読書感想文は以上です。もっと長くないと先生に怒られる?っていうかこんな上から目線の感想文を小学生が書いてきたら(笑)。

コメント (2)
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