ジョージ秋山の原作を熱心に読んでいたのって高校生のころだったかな。当時のビッグコミックオリジナルはこの「浮浪雲」のほかに、「三丁目の夕日」「あぶさん」が連載されていて……ってまだ続いているのか!どんだけ長期連載だらけなんだ。
もっとも、いまのあぶさんからは想像もできないでしょうが、景浦安武がサチ子以外の女性(麻衣子)と深い仲になってしまう展開もあったし、「青春の尻尾」というやたらにエッチな諸葛孔明伝もありで……。
「浮浪雲」は、元武士であり、雲助の頭目として影響力をもっているにもかかわらず、あだ名どおりフラフラと幕末の品川を浮遊する雲(くも)が主人公。
がんばらない、意地を張らない、女にだらしない雲の造形は、田舎の高校生にとって(特にビッグコミックオリジナルを熟読するような年寄りくさいガキにとって)とても魅力的に見えた。エピソードで忘れられないのは“小さな石はよけないが、大きな石はよける”ってやつ。すいません説明がヘタで。
その原作を石原プロが1978年にドラマ化。脚本に倉本聡、雲に渡哲也、その妻に桃井かおりという鉄壁の布陣。
でもよく考えると、大河ドラマの真裏でオンエアするなど、その4年前に渡哲也が病気で、倉本聡がNHKともめて降板した「勝海舟」の意趣返しの色彩ありあり。
で、どうだったかというと、当時の大河ドラマ「黄金の日日」(市川森一)がやたらに面白かったので、視聴率的に惨敗。相手が悪かったか。わたしも実はテレビ朝日への反感もあって半分はそっち見てましたし。
谷啓が欲次郎、渋沢老人に笠智衆、雲助に志賀勝、小鹿番、そして最終回ではプロデューサーである石原裕次郎までが義兄役で出演した豪華版だったのにもったいない。なにしろ時代考証を無視した倉本脚本は笑えたのに……
どうもね、このころのテレビ朝日は、面白いドラマをつくる体勢はまだまだととのっていないのでした。桃井かおりがひたすらキュートなので惜しい。もうちょっとやりようがあったでしょうがぁ(桃井調)。
TSUTAYAディスカスはこういうマイナーな作品が用意してあるのでうれしい。もっとも、わたしがこれを見ているのに気づいて妻が激怒。
「ずるいわ!あたしもこのドラマ大好きだったのに」
すみませんすみません。新之助役の伊藤洋一に
「この子はねー、すごくいい子役だったのに、たしか中学受験のために引退したのよ」
うわー詳しい。ほんとに好きだったんだなあ。
ドラマ化されてますが、私はこちらのほうが好きです。でも、脚本が倉本聰だったとは初めて知りました。
子役の男の子は、当時売れっ子で、演技がうまくて有名だった覚えがあります。その後全く出てこないところを見ると、普通の人生を歩んでいるのでしょうね。
みんなそうよね)「いいのかこれ?」とハラハラ。
愚かな母、という役回りのかめ女をこてんぱんにしています……
が、それを桃井かおりがやるとなれば違った味が(笑)
どう考えても雲はビートたけしの役回りじゃないな。
渡哲也が鼻歌で♪いーまではゆびーわもぉ♪と歌うから
いいのであって。
それから、雲助たちと毎回もりあがるお座敷唄は最高です!