事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「10.8 巨人VS中日 史上最高の決戦」 鷲田康著 文藝春秋

2013-11-23 | スポーツ

Img_e00f193b3cb530408a9a12f06e38500 あの、1994年10月8日の試合を徹底的にルポ。長く報知新聞に在籍した鷲田の人脈が活用されている。この試合の記憶がわたしにはとんとなくて、プロ野球ファンであるわたしが、しかも最高視聴率67%などという馬鹿げた数字をたたき出した試合を見逃したはずはないのに……あ、なんと山形テレビのクロスネット解消がらみで山形では中継されてなかったのか!なんてことだ。

今年の日本シリーズにおいて、楽天が田中と則本をフル回転させたことには賞賛と批判が集まっている。しかしおよそ二十年前の長嶋は、槙原、齋藤、桑田の三人にそれ以上のハードワークを強いていたことがこの書で理解できる。

同率同勝利数での最終試合での決戦、というシステムは、引き分けがふたたび復活したことでもうありえない。そんな奇跡の試合に、長嶋はあんな性格だから幸福を感じ、高木守道は必要以上に普通であろうとした。その是非が試合結果(巨6 - 3中)に反映にされたと結論づけられている。

選手にとっては地獄のような試合だったようで、試合中に落合と立浪が負傷し、桑田もその疲弊によって選手生命を縮める結果になった。“長嶋を優勝させるために巨人に来た”と意気込む落合は、この試合に負けたら引退を覚悟していたというし、原もまた極度の緊張のなかにいた。そんななか、松井だけは能天気に楽しんでいたというのがなんともかわいい。

まだシーズン中なのにオリックスのイチローが焼きそばを食べながら三塁側で観戦していたというのに、その祭りのなかに参加できなかったのが山形県民だったわけ。急きょ実況を担当することになった吉村アナの名調子を、フジテレビ空白域以外の人たちは楽しんでいたのか。やっぱりくやしい。

10・8 巨人VS.中日 史上最高の決戦 10・8 巨人VS.中日 史上最高の決戦
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2013-03-09
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