事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

踊る大捜査線

2007-07-04 | テレビ番組

0pcpcbc50999 なんか、「日本の警察」シリーズのなかで、予想したこととは
言え、「踊る大捜査線」が突出してレスも多いようなので
むかし特集したヤツを再録。

 脚本の君塚良一が萩本欽一門下だということは結構知られている。

大学を出てブラブラしていた君塚に欽ちゃんが命じたことは「もっとブラブラしていろ。」だったそうだ。夢のような師匠である。

 枠(火曜9時だったかなあ)を用意したフジテレビも変わっている。普通ならこんなネタで、こんなテーマで、が最初に来るべき企画が「織田裕二と深津絵里は用意しました何やります?」が君塚へのアプローチだったらしい。アバウトにも程ってものが……。まあ、テレビってそんなものなんだろうが。

 しかし恵まれた条件だから優れたドラマが生まれるわけではないのはご承知の通り。そして恵まれた条件下、優れたドラマが生み出されたにしろ、みんなに観てもらえるものではないところがテレビの、そして視聴率の難しい部分だ。「ロケットボーイ」の例を見るがいい。恵まれた枠、無闇に面白い脚本(宮藤「池袋ウエストゲートパーク」官九郎)、最高のキャスト、それが織田裕二のぎっくり腰一発で文字通り腰を折られてしまうのだ。ショウビジネスって怖い。

 さて「踊る大捜査線」だが、放映されたのが山形ではYTSのネット変更の時期だったため、リアルタイムで観ることは出来なくて……あ、このネットの関係は脇道に逸れるけれどちょっと語っておこう。

 そもそも山形県の民放は日本テレビ1局系列の山形放送がまず第一にあり、私が小学生の頃だから昭和四十年代後半にUHF(今の若い奴は知らんだろうなあ)の周波数を使い、コンバーター(今の若い奴は……)を各家庭でテレビに接続し、新たにフジテレビ系列の山形テレビを見ることが出来るようになったのである。当時の郵政族のボス、田中角栄の周波数大盤振る舞いの結果らしい。

しかし山形にはかの有名な“天皇”服部敬雄が君臨しており、マスコミの集中排除の方針もどこへやら、山形テレビも服部の軍門に下り、山形新聞グループに組み入れられることになってから随分と歪な形をとるようになってきた。ちょっとマニアックな話になるが、「クロスネット」の名の下に、系列にとらわれない番組をチョイスして県民に最も適した番組を提供する、まあ建前はきれいだが、要するに在京キー局のいうことばっかりはききませんよ、と山新グループ(即ち服部)が意地をはった結果、日テレ系列の山形放送の中にテレビ朝日の番組が混入し、同時に山形テレビのゴールデンタイムにもテレ朝の番組が進出することになったのである。これは当時テレ朝の重役だった三浦甲子二という業師と服部が手を結んだ結果だったと聞いている。って誰から聞いたんだ俺は。

 具体的には、日テレの野球中継をYBCで観ていると、途中で「一部の地域を除き、野球中継を延長させていただきます」とのテロップが入るが、山形は例外なくその一部の地域となり、8回表ぐらいで中継はブチ切られてしまった。そして本来そのまま水曜ロードショー(日テレ系)に移行するはずのものが、なぜか欽どこ(「欽ちゃんのどこまでやるの」テレ朝系)に番組は移り、意味無く水曜ロードショーは山形テレビで放映されるのであった。

おまけにその映画も、二時間以上のスペシャル版だったりすると、山形だけが、ジュリアーノ・ジェンマあたりのB級西部劇に作品が差し替えられるという情けない事態に陥るのだ。全く、今では信じられないことだが。

だから君塚には悪いが欽ちゃんに私はあまりいい印象を持っていない。彼には何の落ち度もないのに。あ、浅利慶太にのせられて長野冬季オリンピックの閉会式に出てきたのは汚点だったなぁ。

 このいびつなクロスネットが解消されるきっかけは、地方ローカル局のくせに米映画に投資するなどバブリーな経営を続けていたYTSが、財務状況の悪化のため、救援資金を出すことを条件にフジを切り捨ててテレ朝一局ネットとなる選択をしたことだった。視聴率的には圧倒的にフジテレビの方が勝っていたにもかかわらず、なんでテレ朝に助けを求めたかは判然としないが(おそらく入札に近い状況だったのだと思う。新局を立ち上げるよりはずっと安上がりだから)、捨てられた形のフジテレビの怒りはもの凄く、様々な嫌がらせをYTSにかましていったらしい。それからフジ系列のさくらんぼテレビが開局するまで、山形はフジ制作番組空白県となった。「サザエさん」まで、TBS系のTUYが軒先を貸すような形で17:30という中途半端な時間帯に放映していたのだ。長谷川町子が化けて出そうな話である。

 パソコンを使える環境にあるか否かのデジタルディバイドが問題になっているが、それどころか民放4局体制に達したのがつい先日である山形の人間は、“生まれた時から4局体制”だった地区の人間との情報量の蓄積が違いすぎる。東京に出た山形人がまず悔しがるのが、“映る”テレビのチャンネルが多い!ということだった。私も意地になって面白くも無いテレビ東京の番組を観ていた憶えがある。「テレビ探偵団」を北海道出身の妻と一緒に観ていると「懐かしいわねぇ、これ」と彼女が呟く番組の半分も観たことがない事態は寂しすぎるぞ。まあこれは彼女が随分と年上のせいもあるのだが(笑)。

Sub2
 それにしたっていかりや長介が「うぃーっす!」と観客に声をかける「8時だよ!全員集合!」(TBS系)をリアルタイムで観ていれば、定年間近な和久さん役への感慨もまたひとしおのものがあったろうに。くっそー、服部ぃ、てめえの所為だぞ!…って言ってもあのジジイも、その子分板垣前知事と金沢元山形市長も死んじゃってるからなあ。救いは、旧体制に反逆した高橋和雄が知事になり、金沢と骨肉の争いを演じていた吉村和夫が山形市長になっていることか。昔よりは、少なくともマシにはなっているのだ。みんなは忘れちゃってるみたいだけど。

 そして、前にも書いたようにそのさくらんぼテレビの開局寸前にオンエアーされていたのがこの「踊る大捜査線」で、だから次第に上昇する視聴率とか、最終回前に“発火”するように人気が出ていることとか、評判だけを山形の人間は聞かされていたのだ。結局山形でのオンエアーは夕方5:00から、という一頃のサザエさん状態だったのだが、噂以上に、このドラマはよく出来ていて……って中身に入る前に字数は尽きた。“業界”バナシが私は好きだからなぁ……次回を待て!

コメント (8)
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